2010年12月25日土曜日

イノベーションのジレンマ




クレイトン・クリステンセン

イノベーションのジレンマ

イノベーション(innovation)とは、

物事の「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。

新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、

社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。

(以上、Wikipedeiaより)


本著では、まずはイノベーションを

『持続的イノベーション』と『破壊的イノベーション』に分類します。

『持続的イノベーション』

製品の性能を高める(断続的、急進的、少しずつ、スピードは様々)

主要市場のメインの顧客が評価している性能指標に従って性能を向上させる

『破壊的イノベーション』

少なくとも短期的には製品の性能を引き下げる効果を持つ

従来とは異なる価値基準をもたらし、主流市場ではなく、新しい顧客に評価される

1) まずは既存企業で開発される
2) マーケティング担当が主要顧客に意見を求める
3) 実績ある企業が持続的技術の開発速度を上げる
4) 新企業が設立され、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される
5) 新規参入企業が上位市場へ移行する
6) 実績ある企業が顧客基盤を守るため遅まきながら時流に乗る


そして、その次に、破壊的イノベーションがなぜ、

大企業に失敗をもたらすのか、

そして、それを回避するための手段に議論が展開していきます。

① 企業は顧客と資本家に資源を依存している

現在属している上位のバリューネットワークの顧客と資本家には評価されない

② 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない

小規模市場は粗利益率が低く、小規模なため大規模企業の成長率を満足できない

③ 存在しない市場は分析できない(最終的な用途が分からない)

④ 組織の能力は無能力の決定的な要因になる

大企業のプロセスと価値基準が新規市場開発には邪魔になる

⑤ 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない

対応策;

① 破壊的技術を必要としている顧客がいる組織に任せる、資源を流れるようにする

② 独立組織は、小さな勝利でも前向きになれるように小規模にする

③ 失敗に備える。初期の努力は学習と考え、常に余力を残す。

④ 躍進を期待せずに、早い段階から移行する。

2010年12月20日月曜日

ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則


ジェームズ・C・コリンズ

ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則

以前紹介した、『ビジョナリーカンパニー』

金メダルの企業と、銀メダルの企業の比較でした。

正直、まずは銀メダルの企業に成長することでも十分でしょう!

そこで、今回は、原題の『good to great』があらわしているように、

平均からちょっといい状態から、卓越した状態になるにはどうしたらいいかに

焦点を当てています。


方法論は前回と一緒です。

飛躍を遂げた11社に対して1万5000時間に及ぶ調査を実施し、

さらにライバル会社との詳細な比較検討を行い、

飛躍を遂げた企業に共通してみられる法則を明らかにします。


以下は要約です。

【1】 第5水準のリーダーシップ

・ 個人としての謙虚さと職業人としての意志の強さという矛盾した性格を併せ持つ

・ 野心的であるのは確かだが、野心は個人ではなく組織に向けられている

・ 徹底して謙虚であり控え目であり飾らない

・ 熱狂的といえるほど意欲が強く、すぐれた成果を持続させなければ決して満足しない


【2】 最初に人を選び、その後に目標に選ぶ

・ 『誰を選ぶか』をまず決めて、その後に『何をすべきか』を決める

・ 人事の決定に厳格であって冷酷ではない

(最大のボトルネックは、適切な人々を採用し維持する能力である)

・ 人材は最重要の資産ではなく、適切な人材こそが最も重要な資産なのだ

・ 適切な人材なのかは、専門知識、学歴、業務経験より、性格と基礎的能力によって決まる


【3】 厳しい現実を直視する

・ 自分が置かれている現実の中でもっとも厳しい事実を直視する、
  真摯に懸命に取り組めば、正しい決定が自明になることが少なくない

・ 上司が意見を聴く機会、そして究極的には真実に耳を傾ける企業文化を作り上げる

・ 上司が真実に耳を傾ける社風をつくる基本的に方法は
(1) 答えではなく、質問によって指導する
(2) 対話と論争を行い、強制はしない
(3) 解剖を行い、非難はしない
(4) 入手した情報を無視できない情報に変える仕組みを作る

・ ストックデールの逆説:どれほど困難にぶつかっても、
  最後には必ず勝つという確信を失ってはならない

・ 動機付けに努力するのは時間の無駄、適正な人がバスに乗れば自然と意欲を持っている

・ 厳しい現実を無視するのはやる気をなくなさる行動で特に打撃が大きい


【4】針鼠の概念

・ 三つの円が重なる部分を深く理解し、単純明快な(針鼠の概念)を確立する

・ その際のカギは、自社が世界一になれる部分はどこか、そして同様に重要な点として、
  世界一になれない部分はどこかを理解にすることである(世界一になりたい分野ではない)。
  針鼠の概念は目標ではないし、戦略でもないし、意図でもない。理解である。

(1)自社が『世界一』になれる部分
(2)『情熱』をもって取り込めるもの
(3)『経済的原動力』になるもの

・ 針鼠の概念を獲得するまでに平均4年かかっている


【5】人でなく、システムを管理する(規律の文化

・ 偉大な業績を維持するカギは、みずから規律を守り、規律ある行動をとり、
  3つの円が重なる部分を熱狂的ともいえるほど重視する人たちが集まる企業文化を作り上げること

・ 適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろせば、組織を窒息させる官僚制度は不要になる

・ 規律のある文化には二面性がある、一方では一貫性のあるシステムを守る人たちが必要で、
  他方ではこのシステムの枠組みの中で、自由と責任を与える

・ 内部を詳しく見てみると、極端なほど勤勉で、おどろくほど徹底して仕事に取り組む人たちが大勢いる(コッテージ・チーズを洗う人たち)

・ 偉大な業績を持続させるのにもっとも重要な点は、針鼠の概念を熱狂的ともいえるほど信奉し、
  3つの円の重なる部分に入らないものであれば、どんな機会でも見送るほど強い意志を持つことである

・ 『やめるべきこと』のリストは、『やるべきこと』のリストよりも重要である


【6】新技術にふりまわされない

・ 飛躍した企業では技術の流行に乗るのは避けているが、
  身長に選んだ分野の技術の利用では先駆者になっている、
  決定的な問いは針鼠の概念に直接適合しているかどうか

・ 思慮深く、創造性豊かに対応し、自社の可能性を実現したいとの動機によって行動する


【7】劇的な転換はゆっくりすすむ(弾み車と悪循環)

・ 偉大な企業への飛躍は、外部から見ると劇的で革命的に見えるが、
  内部から見れば、生物の成長のような積み重ねの過程だと感じられる

・ 長期間にわたって、一貫性を持たせて一つの方向に押し続けていれば、
  弾み車に勢いがつき、やがて突破段階に入る

・ 飛躍した企業の内部にいた関係者は、転換の時点ではその規模の大きさに気付かず、
  後に振り返ってみてはじめて、大規模な転換であったことに気がつく。
  『力の終結』『動機づけ』『変化の管理』にはほとんど力をいれていない


要約終わり


現時点で、印象に残ることは、

一番大事なのは、人!!

その次に、窮鼠の概念!!

確かに、大きな企業であれば、優秀な人材を集めるところからスタートできるでしょう。

でも、中小企業はそうもいかないはずです。

病院だって同じです。

限られた人材で、どう成果を出していくか、

それに悩んでるところが実際には多いはずです。

まずは、goodになる方法を知りたいところです。

2010年12月11日土曜日

まず、ルールを破れ


マーカス・バッキンガム&カート・コフマン

まず、ルールを破れ すぐれたマネジャーはここが違う


『さぁ、才能に目覚めよう』

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』

の著者のマーカス・バッキンガムの著書で、

相変わらず、わかりやすく、明快なフレームワークが展開されます。


マーカス・バッキンガムが言うところのマネジャーとは、

『部下1人1人の特色を発見し、それを有効に活用すること』

であり、本著では、そのための、フレームワークが紹介されています。

部下の強みを伸ばす助けをし、

そしてその強みが生かせるように適材適所を行うということです。


そんな、上司や、組織に恵まれることはなんと幸せなことでしょう。

少なくとも、僕の周囲では、そういったことはほとんど行われていません。

逆に、ただ人数合わせのための配置転換のため、

その医師の個性や強みが無視されて、結果、疲弊して、

辞めていく姿のほうを多く見かけます。


こういったことを、組織に期待することはなかなか困難な状況です。

やれることは、セルフマネージメントです。

以下のようなフレームワークを生かして、

自分の強みを伸ばし、

自分に合った職場に就けるように努力していくしかありません。


以下抜粋

まずは以下の質問で、評価を行う。

ベースキャンプ『何が手に入るのか

Q1;自分が何をすべきか、要求されていることが分かっているか?

Q2;自分の仕事を適切に遂行するために必要な材料や道具類はそろっているか?


キャンプ1『自分はどんな貢献をしているか』

Q3;毎日最高の仕事ができる機会に恵まれているか?

Q4;最近1週間で、仕事の成果を認められたり、誉められたりしたことがあるか?

Q5;上司や仕事仲間は、自分を一人の人間として認めて接してくれているか?

Q6;仕事上で自分の成長を後押ししてくれる人がだれかいるか?


キャンプ2『自分はここの人間なのだろうか』

Q7;仕事上で自分の意見が尊重されているか?

Q8;会社のミッション・目的を前にして、自分自身の仕事が重要だと感じられるか?

Q9;仕事仲間が責任を持って精一杯クォリティーの高い仕事をしているか?

Q10;仕事仲間にだれか最高の友達がいるか?


キャンプ3『全員が成長するにはどうしたらいいか』

Q11;最近半年間で、自分の進歩に関して誰かと話し合ったことがあるか?

Q12;仕事の上で学習し、自分を成長させる機会を与えられたことがあるか?


まずはベースキャンプとキャンプ1(Q1~Q6)を満たすことが重要。

それが満たされない状態でキャンプ2-3が実現されても高山病でうまくいかなくなる。

そのためには、『人を選ぶ』『要求を設定する』『動機付けをする』『育てる』ことが必要。

Q1・2→要求を設定する(適切な手順を定めるのではなくて、成果を適切に定義する)

Q3→人を選ぶ(知識、経験、意志の強さではなく才能で選ぶ

Q4・5→動機付け(弱点の克服ではなく、強みを生かす)

Q5・6→育てる(単に梯子を継ぎ足すのではなく、強みに適した場所を探る)


パフォーマンス計画面接(年に4回×1時間)を行う。

前もって以下の質問の答えを書いておかせること(A-Bは10分間)

A:どんな行動をとったか(過去3か月の部下の細かなパフォーマンス)

B:どんなことを発見したか(本人の学習効果から目を離させない)

C:どんな協力関係を築いたか

D:あなたが今一番力を入れていることは何か?(次の3か月の目標は?)

E:どんな新しい発見をしようとしているか?(次の3か月で何を発見したいか)

F:どんな協力関係を築きたいと思っているか?

2010年12月7日火曜日

採用氷河期


原 正紀

採用氷河期;若手人材をどう獲得するか

今年は就職氷河期で、多くの学生さんが苦労しています。

一方、数年前までは、採用氷河期でした。

今年でも、中小企業ではまだまだ採用困難な状況もあるようです。


一方、医療の世界では、特に医師不足を反映して、

多くの医局や病院で相変わらず人材不足です。

いかにして若手人材を獲得するかは必須の課題であります。


どのように、人材を確保していくかについて扱った本は多くなく、

この本はその中でも参考になる一冊といえると思います。


著者の原 正紀さんは、リクルートで長年、

人材採用・教育、キャリア開発に関する事業を行ってみえ、

本著ではそのノウハウが紹介されています。


以下要約

採用力 = 企業力 × 採用マインド × 採用スキル

企業力    =急激な向上は困難、重要なのは現状の魅力の整理と伝達

採用マインド =ビジョンや理念を持ち、組織として共通した一貫性のある採用マインドを持つ


① 採用準備

(採用コンセプト、採用目標、採用スタッフ)

② 採用戦略立案

・ 求める人物像の設定(ペルソナ)
・ 創業期;ビジョン、可能性、人材への期待感  
  成長期;事業戦略、未完の魅力と到達点、期待の大きさと達成感   
  安定期;優位性、安定度、充実度、チームワーク
・ モチベーションの源泉でアピール(P142)
・ 採用体制のポイント;トップ層の取り込み、採用スタッフの選任、採用支援体制

 ⇒ビジョン、魅力を共有。人物像の設定。体制の決定。

③ 情報提供(情報提供ルート、双方性と両面提示)

・ 情報提供ルートを数多く持つ
 (学校ルート、メディアルート(デジタル・アナログ)、
  人ルート、イベントルート、公的ルート)
・ 情報提供のタイミングが重要(就職活動スケジュールを把握)
・ 初期に情報提供することが重要(刷り込み効果)
・ 何を伝えるか(理念・ビジョン、社風、仕事内容、キャリアについて)
・ 人だし

④ 人的接触・会社説明会(接触する社員の意思統一、人のつながり

・ 業界⇒企業⇒事業⇒仕事⇒社員
・ リクルーター
 (情報提供、印象付け(インパクト)、共感性、動機づけ(差別化)、決断促進、フォロー)
・ 説明会(P206)

⑤ 面接・選考

⑥ 内定・フォロー(動機づけを強化、辞退を防止)

・意識ギャップの解消、動機付けの強化、内定辞退の防止、即戦力化


チェックポイント

①⇒採用コンセプトはありきたりでないか、
  採用目標の設定は具体的で実現性があるか、
  採用体制は全社的か

②⇒求める人物像は十分練られているか、訴求するコンテンツに共感性があるか、
  実行戦略は競争力があるか

③⇒情報提供は効果的か、母集団形成は十分か

④⇒協力者の意思統一情報提供は十分か、社内協力者の質量はじゅうぶんか、
  説明会は差別化されているか

⑥⇒内定者とのリレーションは強まっているか、連絡は十分に取っているか

2010年11月27日土曜日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


岩崎 夏海

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


ミリオンセラーの1冊です。

本屋さんで平積みになっているのを見かけた方もいるはずです。


公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことで

ドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。

はじめは難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのに

ドラッカーが役立つことに気付きます。

みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、

ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。


とけっこうハチャメチャな展開ですが、さらっと読めて、意外と泣けます。


こういう本を読むと、どうしても、『病院』とか『医局』という

組織について考えてしまいます。

本の中では、まずは組織(高校野球部)の定義付けから始まります。

そしてドラッガーの、企業の目的と使命を定義するとき、

出発点は一つしかない。

顧客である。

という言葉をヒントに、定義付けを進めていきます。


組織には2種類の顧客があります。

一方は、活動対象としての顧客。

もう一方は、パートナーとしての顧客。

マネージャーみなみは、このパートナーとしての顧客、

部員に焦点を当てて、活動を始めていきます。


病院にとっての第一の顧客はもちろん患者さんです。

第二の顧客は、医師、看護師、そのほか多くのコメディカルです。

医局にとっても第一の顧客は単一ではなさそうです。

第二の顧客は、存在する医局員(医師)でしょう。


病院にせよ、医局にせよ、もっと、第二の顧客に焦点をあてた

活動を行うことが、組織の成熟につながるような気がしました。

2010年11月19日金曜日

決断の本質


マイケル・A・ロベルト

決断の本質

1996年、ベスイスラエル病院とディーコネス病院が合併した。
両者はともにマサチューセッツ州ボストンの権威ある大きな医療施設だった。
合併後の病院は1000人以上の熟練した医師を擁し、
その収入は10億ドルに近かった。
しかし、合併はうまくいかなかった。
赤字が急速に拡大し、何人かのCEOは立て直しを図ったが、ことごとく失敗した。
2002年新しく就任したCEOポール・レビーが調べてみると、
それまでの経営陣が、膨大な時間と労力をかけて病院が抱える問題を分析し、
財務の健全性を取り戻すためにいくつもの案を討議していたことが分かった。
何社ものコンサルティング会社が広範な分析を実施し、立派な提案書を提出していた。
しかし、実質的な組織改革が具体化することはなかった。
ミーティングでは、議案に対する自分の部署の反応について誰も本当のことを言わない。
その場では静かに座っている。こうした行動が当たり前になっていた。
その提案に反対ならミーティングでは沈黙を守る。
そして会議室を出た後で、その場で生まれたように見えたコンセンサスを覆した。


上記は、本著で語られている、病院改革の1例です。

こうした文化を持つ病院というのは多いのではないでしょうか?

決断されたことがどうして実行されないのでしょうか?

それは決断に至るまでのプロセスに問題があるからなのです。

本著は、有効な決断に至るまでの合意形成のプロセスについて解説しています。

著者はビジネススクールの教授で、多くの実例を挙げながら、説明していきます。


以下は部分要約です。


意思決定のプロセスの『4C 』を決定する


① composition(メンバー構成を決める)

専門知識の有無、実行に移す場合に必要な人、信頼できる副心、多様性があるか

② context(背景を設定する)

・基本ルールを設定する
・冒頭の訓示にて、基本姿勢を明確化する
・ミーティングの場を社外に設定する

③ communication(対話の仕組みをつくる)

コンセンサス手法、6色ハット発想法、弁証法的討議と悪魔の代弁者

④ control(自分の立場を明確にする)

傾聴・どこまで自分の意見を伝えるか、どこまで介入するか、
どのような役割を担うか、どのように議論を締めくくるか


公正なプロセスを主導する

=他人の意見を本当に尊重している姿勢をはっきりと見せることである。

(1) プロセスのロードマップを準備する
(2) 公正な物事の見方を強調する(暫定的で、変更することもある)
(3) 積極的に意見を聞く
(4) 意思決定の根拠を説明する
(5) 意見をどのように反映したかを説明する
(6) 謝意を表明する

意思決定プロセスに対して人は批判的な心構えになる。

すべての出席者に平等に情報を与えることが大切。


実行につながる決断

発散と収束を繰り返す。

中間的な合意を作り上げる、『小さな成功』をつくる

(1) 目標と目的に合意する
(2) 前提に合意する
(3) 決定基準に合意する
(4) 選択肢を消去する(選ぶより消去したほうが効率がいい)
(5) 条件つきで合意する

要約終わり


冒頭の例の、ポール・レビーは、
コンサルト会社の提案を公表し、全員の意見を求め、
すべての意見に自ら返事を書きます。。
彼は病院の改革計画を発表し、その理由を説明します。
そして全員にその計画に対してサインを求めた。
それに引き続き、タスクフォース(作業班)を設け、
タスクフォースでの意思決定プロセスをどのように展開してほしいかを説明します
診療部長たちがタスクフォースの作業に口出しするのを控えさせ、
部長たちにタスクフォースが出した提案に対する意見や助言を求めていきます。

2010年11月13日土曜日

プレゼンテーションZEN


ガー・レイノルズ

プレゼンテーションZEN

POWER POINTを利用して、プレゼンテーションする機会がある人は

本著にて得ることが必ずあるはずです。

学会発表のスライドにも、生かすことができるはずです。


以下抜粋

Power Pointは1990年代に普及が進み、2000年までに世界中の会社や学校で当たり前のように使われるようになった。しかし、問題がなかったわけではない。実際、『Power Pointによる死』という言葉が囁かれ始めたのは、このころである。2001年、マーケティングの権威であり、ベストセラーの著者でもあるセス・ゴーディンは、ついに我慢の限界に達した。(彼はお粗末なプレゼンを見続けなければならなかったので)セスは世の中に一石を投じようと決めた。そこで彼は『最悪のPower Point』という10ページの電子ブックを書きあげ、Amazonを使って一冊2ドルで売り出した。同書は電子ブックの年間ベストセラーに輝いている

抜粋終わり


なにも、Power Point自体に問題があるわけではありません。

問題なのは、文字と数字の羅列に頼り、

それを読み上げるだけのプレゼンが問題なのです。

あなたが聴いてくれている人に本当に何か伝えたいと考えているなら

それを改善しなくてはいけません。


以下は気になった点の要約です。

1) 想像力と制約

『シンプル』『明快』『簡潔』を常に意識する

2) アナログ式に計画を練る

まずは紙やペン、ホワイトボード、ポストイットを使って、大まかなアイデアを書きとどめよう

『核となるテーマは何か?』『なぜそれが重要なのか?』という問いがカギである

もし、たったひとつの事しか聴衆の記憶に残らないとしたら、それは何であってほしいか?

3) ストーリーを作り上げる

メッセージが聴衆の心に残るようにしよう。簡潔さを心がけ、

実例やエピソードを使い、意外性を狙い、人々の感情に訴えるようにしよう

(『単純明快』『意外性』『具体性』『信頼性』『感情に訴えること』『物語性』)

Step1:ブレインストーミング(紙と鉛筆)

Step2:グループ化を行い、核となるメッセージを特定する。

プレゼンテーションは3部構成にすると理解しやすい

Step3:紙の上でアイデアをストーリーボードにまとめよう。

Step4:ソフトウェアを使ってはっきりした構成を固めていこう

4) シンプルであることの大切さ

シンプルであることは大きな力を持ち、明確性を高めることにつながっている。

しかし、それは決して単純ではないし、簡単に達成できるものでもない。

シンプルさは不要物を慎重に取り除くことによって得られる。

繊細、優雅、控え目な気品さといったコンセプトを念頭に置くとよい。

よいデザインには多くの余白がある

5) 原則とテクニック

① シグナル/ノイズ比を念頭に置き、不要なものはすべて取り除くこと

・ 取り除いても視覚的なメッセージに支障をきたさない要素は、できるだけ削るか、すべてカットする。
・ すべてのスライドに会社のロゴを入れる必要はない

② ビジュアルのほうが箇条書きよりも人々の記憶に残りやすい。

・ 1-7-7の法則:一枚のスライドには1トピックまで、テキストは最大7行まで、
  1行に使う言葉は最大7語まで

③ 余白は『無』ではない。それは大きな力を持っている。
  余白を見いだし、それを操作することによって、
  すっきりとまとまった面白みのあるスライドデザインを作り出せるようにしよう。

・ 一枚のスライドに詰め込まないで、複数のスライドに分割する
・ 画像を使って視線を誘導する
・ 対称と非対称を意識してバランスをとる
・ 3分割法を用いる

④ コントラストの原則を使って、異なった要素の間にダイナミックな違いを作り出そう。

⑤ 反復の原則を適用し、スライド全体を通じて一定の要素を繰り返そう。

⑥ 整列の原則を使って、スライド上のデザイン要素を視覚的に結び付けよう。
  
  グリッドは配列を整えるのに非常に役に立つ。

⑦ 近接の原則を用いて、関連のある要素を一つにまとめよう。

以上要約終わり


僕自身、これを読んでから、スライドづくり、プレゼン方法が一変しました。

デザインセンスは自信がありませんが、知識やスキルと練習でカバーできます。

確かに、デザインにこだわり、また、istockphotoで写真を利用することは

時間もお金もかかります。

しかし、その手間を惜しまないことは、聴いてくれている人への礼儀だと思います。

2010年11月8日月曜日

考える技術・書く技術


バーバラ・ミント

考える技術・書く技術 


(以下、amazonより抜粋)

明快な文章を書くことは、明快な論理構成をすることにほかならない。

本書は、マッキンゼーをはじめとする世界の主要コンサルティングファームで

ライティングのコースを教えるバーバラ・ミントが、独自の文書作成術を披露した本である。

著者はまず、多くの人がわかりやすい文章を書けないのは、

論理構造に問題があるからだ、と指摘する。

その上で自らが考案した「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、

物事を上手に論理立てて述べるテクニックを伝授していく。

序文で人の注意を引きつけるにはどうすればいいか、

相手を説得するのにどんなロジックを用いればいいか、

問題点をどうやってまとめればいいか…。

文章について人々が抱くさまざまな疑問点について、

それぞれ適切なフレームワークを用意している。

(抜粋終わり)


本著は、

第Ⅰ部:書く技術

第Ⅱ部:考える技術

第Ⅲ部:問題解決の技術

第Ⅳ部:表現の技術

からなりますが、第Ⅰ部の書く技術が特にお勧めの内容です。

分かりやすい文章を書くことは難しいことです。

しかし、ひとつのフレームワークを参考に、ひたすら書く練習をしていけば、

おのずと分かりやすい文章や、構成を身につけることができると思います。


以下は要約です。

1.ピラミッド構造の原則

(1)どのレベルであれ、メッセージはその下位グループ群を要約するものであること

(2)各グループ内のメッセージは、常に同じ種類のものであること

(3)各グループ内のメッセージは、常に論理的に順序づけられていること


2.ピラミッド内部構造の原則

(1)メッセージは縦方向に関連性を持つ(Q&A形式)

(2)メッセージは横方向に関連性を持つ(演繹法、帰納法)

(3) 頂上ポイントは読み手の疑問に答える

(4) 導入部は読み手に疑問を思い出させる


3.トップダウン型アプローチ

-ピラミッド最上部の箱を埋める

① 主題(伝えたいメインテーマは何か?)

② 主題について読み手のどんな疑問に答えようとしているか?

③ 答えは何か?


-答えを導入部に一致させる⇔重要!

① どのような状況か?⇔重要!

② どのような複雑化が生じたか?

③ 答えは読み手の疑問にあったものか?

-キーラインをみつける

① 答えから新たにどんな疑問が生じるか?

② 演繹的にこたえられるか?それとも帰納的にこたえるか

③ 帰納的にこたえるとすれば、どのような同一名詞で事柄をくくることができるか?

-サポートするポイントを組み立てる

① このレベルでQ&A形式のプロセスを繰り返す


(1) まず主題をかく。主題がはっきりしていなければ、疑問について書く。

     疑問がはっきりしていなければ状況を明確にする。

(2) 疑問の読み手はだれか?主題についての読み手のどんな疑問に答えればよいか?

(3) もしわかっていれば答えを書きなさい。答えがない場合には答えねばならないとメモしておく

(4) 状況について読み手がその通りだと納得できることを書く⇔重要!

(5) 読み手を想定してQ&A応答をやってみる

(6) 疑問と答えを再チェックする


(初心者へのポイント)

① まずは、トップダウン型に考えて構成するようにする

② 導入部分を省略しない、状況をポイントにして考える

③ 過去の出来事は導入部へ

④ 導入部の記述は読み手が合意する事項に限定する

⑤ 選択できるなら、演繹法よりも帰納法を

2010年10月31日日曜日

競争の戦略


M.E.ポーター

競争の戦略

ビジネス書の大きな分野の1つに『戦略論』があります。

日本人は欧米人に比較して戦略がないと言うことはよく言われています。

医療に関しても、戦略はあまりなじみがないと思います。

そういった意味では、戦略を学ぶことは、あまり役立たないかもしれません。

しかし、この著者であるM.E.ポーター教授はこの著書の次に、

医療改革を研究し、『医療戦略の本質』を書きあげています。

それをより理解するためにも、戦略論の中でも、

教科書的な存在である本著を読むことをお勧めします。


戦略論にはいくつか種類や流行りがあります。

(1)戦略計画学派

(2)創発戦略学派

(3)ポジショニング・ビュー

(4)経営資源・ベースド・ビュー

(5)ゲーム論的アプローチ

このうち、ポジショニング・ビューは、

あるポジションを占めると儲かるという市場の法則性に基礎をおいて、

個別事業の競争戦略構想や、

選択や集中の決定を進めていく戦略的思考のことで、

その典型のひとつが、ポーター教授の業界の構造分析になります。

産業内における5つの競争要因(競合、新規参入、代替品、買い手、売り手)を

明らかにし、自社に有利に働き、

競争を支配しうるポジショニングを見いだす理論です。


なにか、事を起こそうとしたり、変えようとした時、

だれでもまずは内的要因に目を向けて検討します。

でも、内的要因だけでなく外的要因も重要です。

以下、気になったところの、まとめです。


競争戦略策定のプロセス

A 企業がいまやりつつあるものは何か?

①どんな戦略か?;明示的か暗示的かは問わず、現在の戦略は何か?

②戦略の基礎となっている仮説は何か?;現行の戦略の狙いが理解されるには、

会社の相対的地位、長所と弱点、競争相手、業界の動向についての仮説を明らかにしなければならない


B 企業環境になにがおこりつつあるか?

①業界分析;競争に成功する中心要因および業界での好機と脅威の主要なものは何か?

②競争業者分析;既存および今後予想される競争業者の能力と欠点、

さらに、これら競争業者の今後の行動は何か?

③社会分析;政府、社会、政治からのどんな重要要因が、好機あるいは脅威をもたらすか?

④自社の長所と弱点;業界分析、競争業者分析の結果、

現在および将来の競争業者と対比した場合の、自社の長所と弱点は何か?


C 企業は今後何をしなければならないか?

①仮説と戦略の点検;現行の戦略の基礎となっている仮説が、

上のBでの分析と比較してみて、正しいかどうか?

②どんな戦略がありうるか;上の分析の結果、

今後可能な戦略案としてはどんなものがあるか(現行戦略もそれらの1つなのか)

③ベスト戦略の選択;外部要因である好機と脅威に対して、

内部要因である自社能力を考えて、ベストの戦略案はどれか?


5F(業界構造分析):

競合他社、新規参入業者、代替品、売り手、買い手


3つの基本戦略

コストのリーダーシップ

差別化

集中


業界内部の構造分析後に戦略的に利益機会をとる方法

・新しい戦略グループを作る

・より好ましい状況にある戦略グループに移動する

・現在所属している戦略グループの構造上の地位の強化、グループ内での自社の地位の強化

・新しい戦略グループに移り、そのグループの構造上の地位を強化する


多数乱戦業界の競争戦略

手順1:業界の構造はどうか?競争業者はそれぞれどういう位置にいるか?

手順2:多数乱戦の原因はなにか?

手順3:多数乱戦状態を変えられるか?その方法は?

手順4:変えて利益が得られるか?その場合、自社はどういう位置にいなければならないか?

手順5:多数乱戦が避けられない場合、どう対処するのが最善か?

低コスト、製品差別化、集中の3つの基本戦略を状況に当てはめてみる

付加価値を高める、特定地域に集中するなど

2010年10月24日日曜日

ザ・ゴール


エリヤフ・ゴールドラット

ザ・ゴール

著者の言葉より抜粋

日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一流だ。
その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、
貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥ってしまう』

という著者の意向もあり、日本での出版が許可されなかったいわくつきの一冊です。


採算悪化を理由に、突然、本社から工場閉鎖を告げられた主人公アレックス。

残された時間は、わずかに3か月。

起死回生の策はあるのか?


工場閉鎖まで3カ月の猶予しかない工場の業務改善プロセスを描いたものですが、

小説仕立てで制約条件の理論(TOC)を学べます。

ストーリーを通して、TOCを体験し、その原理を理解することができます。


『ボトルネック』といわれて、ピンとこない方は、一読をお勧めします。

ぼくは、これを読むまで、いまいち良くわかっていませんでした。


例えば、ボトルネックがある場合、

工場全体の生産量はボトルネックの生産量で決まってしまう。

そこで。。。

(1)ボトルネックに集中する

(2)ボトルネック以外の工程では、ボトルネック工程よりも速くものを作ってはいけない

(3)ボトルネック工程の前には適切な在庫を置くべき。

これは工場の中の加工時間に統計的ばらつきがあるためである。

2010年10月9日土曜日

統計学を拓いた異才たち


デイヴィッド・サルツブルグ

統計学を拓いた異才たち


医療(臨床も含めて)に統計のスキルは必須です!!


医療に対する統計学には、大きく分けて2つあると思います。


1)1つは、論文などで得た知識をいかに目の前の患者さんに還元するかというスキルです。

これはいわゆるEvidence-Based Mdeicine(EBM)と呼ばれることで、

これに関連する書籍は多く、自己学習は可能であると思います。

EBMがどれだけ役に立つものかは、それを修得した者だけが語れます。

確かにEBMは万能ではありません。

しかし、限界があるから身につけないというのは間違っています。

これは臨床医にとって患者さんの治療に役立つスキルです。

患者さんのためになる可能性があるスキルがあるのに、

それを習得しないのは、プロフェッショナルリズムにおとります。


2)もうひとつは、得られた臨床データをいかに統計学的スキルを用いて要約するかです。

こちらがいわゆる統計学のスキルになります。

正直、これといった教科書は少なく、独学では挫折しやすい領域です。

いろいろ教科書を読みながら、『R』などの統計ソフトを用いて、

自分の臨床データをごちゃごちゃ触っているうちに、身についていくものです。

人間の認知力には限界があります。

特に、因果関係や、確率の認知は、我々が思っている以上に限界があります。

臨床医が経験を積んでいくうえで、自分の経験を誤った方向に認知しないためにも、

臨床データから、客観的に自分の診療をながめることは、重要なことです。


さて今回紹介する『統計学を拓いた異才たちは』は、

なかなか習得するのに挫折することが多い統計学に対する、

20世紀の近代統計学における、数多くのエピソードとともに綴る統計学史です。

ピアソンとフィッシャーが繰り広げる知恵比べ

t検定のtとビール会社の関係は?

もちろん医療における統計学のかかわりも多く登場します。

こうした歴史というストーリーと、

様々な検定法を発見した偉人の人柄に触れることで、

検定法の意味と立ち位置がすっきり頭に入ってきます。

一度でも、統計学にひっかかりを覚えたことがある方には、

特にお勧めです。

(2010年4月に文庫本のタイプも出版されています。)

2010年10月2日土曜日

静かなリーダーシップ


ジョセフ・L・バダラッコ

静かなリーダーシップ


リーダーシップの方法論にはいくつもあります。

前回、最前線のリーダーシップで紹介した内容は、

比較的典型的な、リーダーシップの方法であったと思います。

今回紹介する内容は、よくあるリーダー像とは異なります。

しかし、現実的にはこういった状況を経験することの方が多い気がします。


以下抜粋

どのような分野にでも、偉大な人物、リーダー、ヒーローはいる。
大企業を築きあげた人物や変革した人、社会を変革する政治的なリーダー、
自分の命を危険にさらして他人を救おうとする消防士。。。
このような人物は皆、見習うべき見本として讃えられ、
リーダーシップを本当に実践している人々だと考えられている。

だが本当にそうだろうか?
私は経営とリーダーシップの研究を仕事としてきたが、ほとんどの場合、
最も実践的なリーダーは大衆のヒーローではなかった。
真のリーダーとは、忍耐強くて慎重で、一歩一歩行動する人、
犠牲を出さずに、自分の組織、周りの人々、
自分にとって正しいと思われることを、
目立たず実践している人だった。

わたしはいつしかこのような人を『静かなリーダー』と呼ぶようになった。

抜粋終わり


以下は、具体的な方法論の要約です。

『静かなリーダーシップ』

自分の価値観に基づいていきながら、

自分のキャリアや評判を危険にさらすことなく、

困難で深刻な問題を引き受けた人々に、

有益で実践的な発想を提供する


(1) 現実を直視する

すべてを知ることはできない(現実的になること、自分の理解を過大評価しない)

予想外の事態がある(計画に頼るが、計画を信頼はしない)

インサイダーに目を光らせる

信頼しても切り札は残しておく


(2) さまざまな動機を見直す

複雑でさまざまな動機が成功の鍵となる(健全な利己主義な感覚が必要)

動機が複雑なのは状況を本当に理解していると言うこと

行動の方向性を設定⇒自分が不適格だと考えない

⇒自分自身と自分の動機を信じる⇒自分にとってその問題が本当に重要かどうかを確認する


(3) 時間を稼ぐ

何とかして時間を稼ぐ方法を考える


(4) 賢く影響力を活用する

自分の影響力を危険にさらす前に、その、リスクと見返りをよく考える


(5) 具体的に考える

複雑な問題に直面すると、忍耐強さと粘り強さを持って、

自分が何を知っているのか、何を学ぶ必要があるか、誰からの支援が必要かを考える

物事が複雑でも職責は忘れない、とにかく良く考える、一人でしない、

時には時間を稼ぎ適切な人間に対処させる


(6) 規則を拡大解釈する

想像力と創造性を駆使して規則を拡大解釈する方法を探す

規則を真剣に考えながら、解釈の余地を探す


(7) 少しずつ行動範囲を広げる


(8) 妥協策を考える

忍耐強く、実践的に重要な価値観を守り、具体化する

妥協を考えることは、実践的な知識を習得して実行に移すことである

倫理観までも売り渡すような妥協に直面したときは断固反対することもある

大きな目標を達成するために基本的な倫理観をいくつか犠牲にすることもある


(9) 最後に重要な性格

多くの場合前提条件として自制心が必要である

謙遜する

粘り強く行う


ずいぶんと、現実的で、地味で、慎重であり、

それはヒーローとは大きくかけ離れた姿ですが、

現実の社会で、確実に実績を残していく人は、

こういった人たちのような気もします。

2010年9月24日金曜日

戦略フレームワークの思考法


手塚貞治

戦略フレームワークの思考法


ビジネス書を読んでいると、フレームワークという言葉がよく出てきます。

フレームワークとは『物事を認知して思考するための枠組み、切り口』のことです。

フレームワークを用いて思考することによって、

『Mutually(相互に)』、『Exclusive(ダブりなく)』、

『Collectively(総合的に)』、『Exhaustive(モレなく)』


頭文字をとって『MECE(ミッシー)』な考え方ができるようになります。


例えば、自分が携わっている事業について検討するとして、

まずは、『外部要因 vs 内部要因』とわけて考えます。

これも1つのフレームワークといえると思います。

外部要因に関してだと、マイケル・ポーターの『5つの競争要因(5F)』があります。

『競合他社、新規参入業者、売り手、買い手、代替品』というフレームワークに当てはめて考えていけば、

外部要因についてMECEに考えることができるし、

他人と思考の共有が簡単になったりします。


本著では様々なフレームワークが

『並列化フレームワーク』、

『時系列化フレームワーク』、

『二次元化フレームワーク』などにわけ、紹介されています。

実際には、ひとつのフレームワークを詳細に知ろうと思えば、

それに関する著書を一つ読まないといけないぐらいの内容ですが、

まずはいろいろなフレームワークに触れてみたい方には本著はうってつけです。


このフレームワークという考え方は、医療においてもなじみのあるものです。

意識障害の鑑別の『AIUEO TIPS』

頭文字にそって、順番に意識障害の原因となりうる可能性を考えていけば

『MECE』に鑑別疾患を検討することができます。

こうした医療系フレームワークを多く知っておくことは必ず役立つはずです。

2010年9月19日日曜日

短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント


石田 淳

短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント


行動心理学の1分野である行動分析学を用いたマネジメントの話です。


以下抜粋

一般的なマネジメント手法においては、結果だけを見ようとする。
これは一見すると正しいように思えるが、大きな間違いである。

結果は行動の連続によって生まれるものだからだ。
結果を変えるには、そこに至る行動を変えなければならない。

行動分析は結果だけでなく、結果を生み出すプロセス、すなわち行動にも目を向ける。
行動を分解し、結果に直結するピンポイントとなる行動を見つけて重点的に繰り返す。
その結果を測定し、自発的に繰り返すようにレインフォース(強化)し、
測定した行動数値を自分にフィードバックして実行率を維持する。

一連の流れをみると、人間の行動原理に基づいた理想的なメソッドであることがよくわかる。

抜粋終わり


以下、要約です。

期待される仕事(行動)ができない理由、以下の2つの場合が考えられる。

① 仕事のやり方がわかってない場合

⇒行動を分解し、チェックリストにして渡す

② 仕事のやり方はわかっているのだが、継続できない場合

⇒行動が増えるように、継続するようにレインフォース(強化)する。


【行動を分解しチェックリストを作る】

(1) 全体を5-6個の大きな流れに分解する

(2) パフォーマンスマップ→プロセスマップ→深堀テーマとさらに細かく分解する

(3) 結果を出すために行動(ピンポイント)を発見するのが重要

鉄則:文書に残す、効果的な好子・嫌子を探す、週一回はチェック、

ルールははっきりと規定(どのように報われるかなど)、サブゴールを設定する

行動とは・・・計測できる、観察できる、信頼できる、明確化されている


【レインフォース(強化)する】

強化因子の特徴:行動の直後に必要、行動を必ず増やす、

人と時によって変化する、回数が多いと効果が薄れる

4:1の原則・・・4つの強化因子に、1つの罰・ペナルティの割合

強化因子は『すぐに』(60秒ルール)→『確実性』


【あなたの会社で実践できる結果を出すために5つのステップ】

(1)ピンポイント

望んでいる結果に直結する行動を見つけ出す

(2)メジャーメント

実際に行動でが起きたかどうか目に見える場合は測定する。
顧客満足度のように測定できない場合は判断する。できる限り数値化する。

(3)フィードバック

効果を実感して自発的意欲を維持するために情報やデータをフィードバックする。

(4)レインフォース

望ましい行動をとった時、すかさずレインフォースして、その行動を継続させる

(5)評価


80対20の法則というのを御存知でしょうか?

その1つの例として、上位2割の人だけが成績を上げ、

残りの8割はパフォーマンスレベルを下げてしまうといったものがあります。

行動分析学マネジメントは、8割の人に2割の人の行動を行ってもらうように

できない人をできる人に変身させるマネジメントと言えます。

その他には、教育現場、研修現場、普段のコミュニケーション等に

応用できるスキルといえそうです。

2010年9月11日土曜日

最前線のリーダーシップ


ロナルド・A・ハイフェッツ、マーティ・リンスキー

最前線のリーダーシップ


ハーバード大学ケネディ行政大学院の教授による著書で、

いかにして人が『リーダーシップ』という行動を起こせるかという、

その具体的な方法について教えてくれます。


そもそも、リーダーシップを発揮するということは、

危険な生き方をするという前提から始まります。

その最悪な結果の1つが暗殺であったりします。

それでも、リーダーシップにリスクを冒すだけの意味があるのは、

周囲の人々の生活をよりよくすることで、人生に目的と意味をもたらすからです。


リーダーシップのたった1つの正解となる方法はありません。

時代、環境、人、様々な要素によって求められるリーダーシップはかわり、

たとえ、同じ条件であっても、別のやり方が求められることもある、

極めて、即興的な要素をもつものだと思います。


それでも、本著が教えてくれるような、戦略的な、リーダーシップのプロセスを、

押さえておくことは、リーダーシップを発揮する時に、

かならず役に立ってくれると思います。


医師も患者さんに最善の結果をもたらすために、

リーダーシップは常に求められるはずです。

時に、価値観、生活態度、長年の習慣を見直すという難題に

患者とその家族を引きこんでしまうことは、リスクの高い仕事となります。

患者の非難を恐れて、面と向かっては調子のいいことしか言わない一方で、

患者の不履行に文句を言っていないで、

こういった難しい作業に立ち向かうためにも本著は役に立つはずです。


以下に簡単に要約しておきます。

いろいろな歴史的な例を用いて、わかりやすく説明していってくれます。


【1】全体像を知る(バルコニー席に上がる

①技術的な問題か、適応が必要な問題かをみきわめる

技術的な問題⇒既存の知識で適応できる、権威のある人が対応できる

適応を必要とする問題⇒新たな方法を学ぶ必要がある、問題を抱える人たち自身で対応
(人々の習慣、考え方、価値基準の変化を迫り、抵抗を招く)

②人々の立ち位置を知る

③言葉の奥に潜む歌に耳を傾ける

④権威者の行動を読む


【2】政治的に考える

①パートナーを見つける

②反対派を遠ざけない

③自分が問題の一部であったことを認める、喪失を認識する、
自らモデルになる、犠牲を受け入れる


【衝突を指揮する】

①適応を促す環境を確保する

②熱気を調整する

③ペースをつくる、よいタイミングで行動を起こす

④将来像を見せる


【当事者に作業を投げ返す】

介入し、結果を評価し、介入を修正し、再評価し、再び介入する


【攻撃を受けても踏みとどまり次のことを検討】

①ほかのどのような懸念事項が問題にかかわる人を忙しくしてしまっているか

②その問題を取り上げることで、どのくらい深く人々が影響を受けるか

③人々は取り上げられる問題をどの程度深く学ぶ必要があるか

④権威ある立場の人は、その問題についてどのような意見を持っているか

⑤パートナーとは別に相談者を見つける

2010年9月3日金曜日

ファシリテーター養成講座


森 時彦

ファシリテーター養成講座

以前紹介した『ザ・ファシリテーター』がストーリーを通しての、

ファシリテーションの概念の浸透が目的であったのに対して、

こちらは同じ著者による、ファシリテーションの具体的な、

スキル、知識の説明が主体となります。

他にも、ファシリテーション関連としては、

『ファシリテーション入門』 堀 公俊
『問題解決ファシリテーション』 堀 公俊

他、多くの関連著書がありますが、

個人的には、本著のスタイルが分かりやすく感じます。


ファシリテーションとは、問題解決や合意形成を促進する技術です。

以下に、『合意形成の方法』について、その内容をまとめておきます。


【1】合意形成のプロセスをデザインする

(1)プロセスをデザインする(Design)

・ゴールを設定する
・最適プロセスを設計する

(2)場をコントロールする(Control)

・批判をしない、信頼関係
・空中戦から地上戦に
・集団思考の落とし穴に落ちない

(3)触発する、噛み合わせる(Discuss)

・フレームワークを利用する
・示唆に富む問いかけ、主張を明確にする

(4)合意形成、行動の変化(Change)

・合意の仕方を決めておく
・具体的な行動に落とし込む


【2】プロセスデザインのポイント

①目的は明確か?スポンサー(支援者・意思決定者・責任を持つ)は合意しているか?

②その日の会議のゴール(具体的なアクションリスト)は明確か?

③メンバーが気兼ねなく発散できる場(紙に書く・リゾート)になっているか?

④収束の方法にメンバーの納得性があるか?(グランドルール/締め切り時間・収束方法)

⑤シュミレーションし、メンバーの反応を予測したか?(予測通りは30%以下、複数のシナリオ)

⑥メンバーのいろいろな反応に備えているか?

⑦「集団思考の落とし穴」に陥らない工夫をしているか?
1)社会的手抜き⇒ポストイットに書かせる、役割を決めておく
2)感情的対立・声高少数者の影響⇒休憩する・フレームワークを使用する
3)集団愚考(集団圧力・集団行動)⇒宣言効果・フォースフィールドアナリシスなど

2010年8月29日日曜日

ハイ・コンセプト


ダニエルピンク

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代


ほかの国なら、これをもっと安くやれるだろうか?

コンピューターなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか?

自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか?


上記の質問に『はい』と答えられるような仕事は、

アジア、オートメーションなどといった要因により、

日本のような先進国で必要とされるような仕事ではなくなってきています。

そのような社会背景になる現代で、

先進国の人間が身につけるべき能力とはどのようなものでしょうか?

それが、6つのハイ・コンセプトな能力です。


日本の医療は、法的な障壁によって国外との競争から

守られているという要素もあると思いますが、

日本語という言語という面からも守られている市場と言えます。

国外との競争にさらされておらず、医療の質という面からも、

ハイ・コンセプトな能力までは必要とされていません。

しかし願わくば、こうした能力が求められる時代が

医療にも来れば、患者さんのためになるのだと思います。


6つのハイ・コンセプトとは、

『機能』だけではなく『デザイン』

『議論』よりは『物語』

『個別』よりも『全体の調査(シンフォニー)』

『論理』ではなく『共感』

『まじめ』だけでなく『遊び心』

『モノ』よりも『生きがい』


本著の中で、それぞれに関して、医療での取り組みも

例として取り上げられていますので、まとめておきます。


『デザイン』

ピッツバーグのモンティフィオーレ病院で行われた調査によると、
手術後、自然光が十分に差し込む部屋で過ごした患者の方が、
従来の病室にいた患者よりも鎮痛剤の投与回数が少なくて済み、
投与量を2%も低く抑えられたという。

一つのグループは、陰気な感じの昔ながらの病室で治療を受けた。
もう一方は、現代的で太陽光が差し込む、見た目もきれいな病室で治療を受けた。
すると、デザインのよい部屋に入院していた患者の方が、
あまり感じの良くない病室にいた患者よりも、
鎮痛剤の投与量が少なくて済み、平均して2日早く退院できたという。


『物語』

コロンビア大学医学部教授のリタ・シャロン博士によると、

―科学的に優れた医学だけでは、患者が病気と戦ったり、
苦しみの中で意義を見出したりする手助けをすることはできない。
科学的な能力とともに、患者の話を聞いてその意味を把握して尊重し、
その上で患者の身になって行動する能力が医者には必要なのです―

いくつかの調査によると、医学部の学生は学年が上がるにつれ、
他人と共感する能力が下がっていくらしいが、
物語医学が目指しているのは患者との『共感』であり、
そこからハイタッチでハイコンセプトな結果を生み出すことだ。
物語を学ぶことで、若い医師は患者と良い関係を築けるようになり、
患者の人生物語を背景に現在の症状を判断できるようになる。

シャロンの学生はみな、一人の患者に対し、二つのカルテを作成するという。
一つは量的な情報や医学的用語が並んだ典型的な病院のカルテである。
だが、もう一つは、患者に関する物語や、
自分自身の感情の推移を記録しておくもので、
シャロンはこれを『パラレル・チャート』と呼んでいる。


『全体の調査(シンフォニー)』

おもに関連性をとらえるということ、明らかに無関係な要素を結びつけて、
新しいものを作り出す方法、『境界を越えられる人』『発明できる人』
『比喩を作れる人』『統合医療』をもとめる声が高まっているが、
これは、従来医療と代替医療や補完医療を組み合わせたものである。

『ホリスティック医療』というのもあるが、これは特定の疾患だけではなく、
患者を全体的に治療することを目的としている。
このような動き-科学に根差してはいるが、
科学にありがちな患部だけを治そうとする
左脳的アプローチだけに頼っているのではない-は、
国立衛生研究所に独自の部門が設けられるなど、
医療の主流として認められるようになってきた。


『共感』

『物語医療』の節で述べたように、特に医師にとって、
物語は共感するための手段となりうる。
医療界の数名のリーダーたちは、医師の仕事には
「共感から距離をおくのではなく、積極的にかかわっていこうとする」
アプローチこそもっとも重要である、と主張している。

医療の仕事の多くが標準化されている。
つまり、さまざまな病気の診断や治療に繰り返し使える
決まった手順の集まりになっているのだ。
このような仕事の一部はコンピューターにもできるのである。
コンピューターにはできないこととは、人と共感することなのだ。
共感によって、正確な診断を下すための、
事実に基づく知識や使用する技術、各種ツールを補完することができる


『遊び心』

週に最低3時間はテレビゲームをする医師は、
ゲームをしない医師に比べて、腹腔鏡手術でのミスが37%少なく、処置を27%早く行える


『生きがい』

定期的に祈りをささげる人はそうでない人と比べると平均して血圧が低い、
礼拝に出席することで心疾患や自殺、
ある種のがんなどで命を落とすリスクを減らせるといった報告がある。
ほかの研究では、人生に高い目標があるとの信念により、
心臓病のリスクが減ることもわかった。

これは議論の余地のある微妙な分野ではある。
一つには神の力を利用して弱いものを救おうとするペテン師がたくさんいるということだ。
ただ精神性に頼ることのみでがんと闘い、
折れた骨を治そうとすれば、間違いなく悲惨な結果が待っている。
だが全体思考的アプローチ、つまり、
『左脳的理性』と『右脳的精神性』を組み合わせたアプローチなら、
効果を発揮できることもある。

現在、約40の病院や医療センターに迷路がある。
その理由は、共感や物語が医療の世界に浸透したのと同じだ。
治療における分析的なアプローチは絶対に必要であるが、
必ずしもそれだけでは十分ではない、という認識が広がっている。
このような全体思考が、世界で最も優れた医療施設のひとつ、
ジョンズ・ホプキンス大学の迷路を生み出したのだ。

2010年8月21日土曜日

話し方入門


D・カーネギー

話し方入門


『人を動かす』、『道は開ける』に続いて、3つ目のカーネギーです。

一般的な話し方の本ではなく、

スピーチ、今で言うプレゼンテーションにおける話し方についてです。


基になっているのは、1926年に既に書かれていたようです。

基本は、時代が変わっても色褪せません。

最近のプレゼンテーション関連の本で強調されていることですが、

内容も大切ですが、結局は、話す人との対話、そう、『話し方』が重要なのです。


四つの基本原則は以下の通り

①よい話し手になろうとする一途な執念

②話そうとする内容を知り尽くす、十分な準備

時間が許す限り、勉強し、そして書き留める

③あえて自信ありげに振舞う

④一にも練習、二にも練習(これは最も重要なポイント)

人に聞いてもらう、今なら、ビデオにとって自分で見返すなど


その後、様々な具体的なスキルが述べられています。


上手な話し方の秘訣は、

『大切なのは何を話すかではなく、むしろどう話すかということだ』


スピーチ前の準備も重要で、身なり、笑顔、そして、

聴衆を前の方にきちんと集める


出だしが重要

好奇心を起こさせる、人間にあふれる話をする、具体例を挙げる

何か品物を使う、何か質問をする、ショッキングな事実の提示


終わり方も重要

要点をまとめる、行動を起こすように訴える、ほめる、

笑わせる、クライマックスに向けて盛り上げる


医師であると、様々な、人前でしゃべる機会が要求されることがあると思います。

病院で、医師会で、学会で、患者さんたちに、地域の人たちに。。。

人前でしゃべることは、得手不得手、もちろん資質の問題もあるでしょうが、

十分、スキルと練習で、優秀なスピーカーにだれでもなることができると

カーネギーは言っています。

2010年8月14日土曜日

急に売れ始めるにはワケがある


マルコム・グラッドウェル

急に売れ始めるにはワケがある


原題は『ティッピングポイント』です。

あるアイデアや流行もしくは社会的行動が、敷居を超えて一気に流れ出し、

野火のように広がる、そのメカニズムに迫ります。

すべてが一気に変化する劇的な瞬間、それが『ティッピングポイント』です。


どのようにしてエイズは蔓延したのでしょうか?

喫煙行動や時に自殺が拡大するのはどうしてでしょうか?

乳がん予防の運動を広めるにはどうしたらいいでしょうか?

上記の例にくわえて、様々な商品の売れ方や、子供番組のセサミストリートの例をあげながら、

そこにある共通の仕組みを明らかにしていきます。


本書に寄れば、ティッピングポイントの要因には3つあります。

1.少数者の法則

流行を拡げるのは少数者の影響が大きい。

その影響を与 える少数者には、①コネクター、②メイブン、③セールスマンのタイプがある。

コネクター⇒知り合いが多い、弱い絆も重要、多くの種類の人とのつながり

メイブン⇒情報の専門家、無私で他人に教えたがる、でしゃばらない

セールスマン⇒説得する技術を持った人


2.粘りの要素

同じように流行ってもすぐ廃れるものとなかなか廃れないものがある

情報を記憶に残すための、単純かつ決定的な工夫、それが粘りである


3.背景の要素

流行が起きる場合、その背景(状況、条件など)の影響がある


自分がマーケティングをして流行り物を作り出そうとする人はもちろん、

自分が行っていることの影響をもっとうまく広げたいという人には

非常に役に立つフレームワークと言えそうです。


あなたの周囲のコネクターは誰ですか?

あなたが広げたいことに、粘りの要素が工夫されてますか?

2010年8月7日土曜日

ザ・ファシリテーター


森 時彦

ザ・ファシリテーター


ファシリテーションという言葉を御存知でしょうか?

医師として、もし、ファシリテーションという言葉を見かけることがあるとしたら、

研究会などでの、座長という言葉の代わりに、用いられてる場合だと思います。


必ずしも、ファシリテーションという言葉や中身に定義があるわけではなく、

それが含有する物は、様々にわたるのですが、

多くは以下のようなものと説明されることが多いです。

日本ファシリテーション協会からの抜粋

ファシリテーション(facilitation)とは、「促進する」「容易にする」「円滑にする」「スムーズに運ばせる」というのが原意です。人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶように舵取りするのがファシリテーションです。具体的には、集団による問題解決、アイデア創造、合意形成、教育・学習、変革、自己表現・成長など、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。またその役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、日本語では「協働促進者」または「共創支援者」と呼びます。分かりやすく言えば、裏方で黒子のリーダーです。会議で言えば、メンバーの参加を促進し、プロセスの舵取りをする人がファシリテーター(進行役)です。(抜粋終わり)


本著の内容は、ストーリー形式となっています。

「えっ、私がですか」

「君ならやれるよ。いや、開発センターを大きく変えるには君しかいないと思っている。
マーケティングを変えたようにね。2年で変えてくれ。
その後は、またマーケティングに戻ってもらうから…」

マーケティング部門のリーダーだった黒沢涼子が、畑違いの製品開発センター長に抜擢される。

はたして専門知識面でも、年齢でも自分を上回る男性の部下を率い、

組織を変えることができるのか…。

ストーリーを楽しみながら、人と組織を動かし、

自分が変わるファシリテーションのスキルとマインドが確実に身につくような構成です。


センター長という権限を持ち(しかも社長は味方)、

そして、ある程度、実現手段に関して合意が得られている環境での組織改革ですから、

恵まれてはいます。

現実はこうはいかないよと多くの方が思うでしょう。

でも、主人公の生き方には非常に勇気づけられます。


本著では、ファシリテートする対象は組織です。

対象が何であるかによって、

必要とされるスキルは異なってきます。

ファシリテーションで紹介されるスキルの多くは、

ビジネスで必要とされ、様々なビジネス書で紹介されるスキルの集合体です。


様々な対象に対して、臨機応変に、ファシリテートできるようになれば、

優れたビジネスマン、いや、人になれることと思います。

2010年7月31日土曜日

7つの習慣


スティーブン・R・コヴィー

7つの習慣


全世界で1500万部以上を売り上げている、ベストセラーの自己啓発本です。

僕自身は、あまり影響は受けていませんが、

社会人になりたての時期や、

自分の仕事の在り方や成長に疑問を感じている時期なら得ることは大きいはずです。


まずは習慣とは『知識とスキルとやる気の集合体』であると言います。

そして、人生の扉を開く7つの習慣とは、

①主体性を発揮する

②目的を持ってはじめる

③重要事項を優先する

④Win-Winを考える

⑤理解してから理解される

⑥相乗効果を発揮する

⑦刃を研ぐ


こうした内容は、『プロフェッショナルの条件』の中で触れられている

ドラッカーのセルフマネジメントの方法と似た内容です。

本著の際立った点は、こうした習慣を身につけるための

具体的な方法論に言及している点です。


確かに、こうした習慣を身につけることができれば、

ハイパフォーマンスな社会人になることができるでしょう!

『読んで=やる気』、『理解して=知識』、『実行する=スキル』必要があります。

ぼくは。。。あまり、実行できてないです、ごめんなさい。

2010年7月24日土曜日

アイデアのつくり方


ジェームズ・W・ヤング

アイデアのつくり方


なにか新しいアイデアを生み出すことを要求される場面は、

仕事をしている限り、ありうることです。

優れたアイデアはどのように生み出されるのでしょうか?


前回紹介した『仕事は楽しいかね?』では、

日々新しいことを試すことをすすめています。

じゃぁ、いったい、何を試したらいいのでしょうか?

多くの人は、確かにアイデアを持っていないかもしれないけれど、

考えは持っているんだと言います。

そして『新しいアイデアというのは、新しい場所に置かれた古いアイデアなのだ』

といいます。

本著ではその具体的なアイデアの作り方を説明しています。


内容は、薄く60分もあれば読破でき、

そして紹介されているこうした方法を、理解しておくことは、

アイデアの創出を早めると思います。

大きな流れは、

(1)資料を収集すること

(2)資料を咀嚼する

1つの知識をいろいろな角度から見てみる
2つの知識を様々な組み合わせで並べてみる
どんなアイデア(とっぴで会ったり不完全であっても)を書き留めておく

(3)放棄する

直接的には努力せずに、問題をまったく放棄する
自分の想像力や感情を刺激するものに心を移す

(4) アイデアが訪れる

(5) アイデアをチェックする


ぼくは、この方法というのは、腑に落ちました。

それに、こうした流れを認識することで、

アイデアを生み出しやすくなった気がします。

普段から、問題点を把握して、それに関連した情報を集めておくこと。

そうした作業の中で、ふとアイデアは生まれます。

アイデアが生まれるときは、想像力や感情が刺激されるときのようですが、

ぼくは当直明けはそんな状態な気がします。

2010年7月18日日曜日

仕事はたのしいかね?


デイル・ドーテン

仕事は楽しいかね?

大雪で閉鎖された空港で足止めを食らった若者と、

偶然出会った老人(実は高名な実業家)との会話というストーリーを通して、

仕事に対する方法を教えてくれます。


内容としては、

日々変化が大切で、

少しずつ試していくことが必要で、

遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守るといった姿勢がメッセージです。


医療は、いろいろやってみて、成り行きを見守ることは許されません。

ヒポクラテスの誓いにあるように、まずは

『First、do no harm 』です。

患者さんに介入する場合、その姿勢は慎重であることが求められます。


しかし、患者さんから離れた様々なマネジメントに関しても、

話し合いはするけど、結局決まらず、実行しないという慎重な姿勢であり、

まずとにかく、試してみると言う姿勢が足りないかもしれません。

患者さんから離れたところでは、改善をもたらすかもしれないことを、

多く試してみて、10個のうち、1つでも2つでも

うまくいったものを残すと言った姿勢が大切ではないでしょうか?

2010年7月12日月曜日

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと


マーカス・バッキンガム

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと


ビジネス書にとって大きな分野の一つである『リーダー』『マネジャー』についてです。

この手に関する著書は非常に多岐にわたり、内容も様々です。


その原因のひとつとしては、そもそもリーダーとマネジャーの定義が様々で、

本によって対象としているものがそもそも異なっている。


もうひとつの原因としては、リーダーにしても、マネジャーにしても、

その答えとなるような方法は決してひとつでなく、

環境や対象によって求められるものは異なっていくからだと思います。


そういった制限がある中で本著は

『マネジャーとリーダーはどう違うのか?』から話を始め、

マネジャーとリーダーの定義付けから始めていきます。

(その定義づけした内容には賛否両論あるかもしれませんが)


マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと、それは、

『部下1人1人の特色を発見し、それを有効に活用すること』だと、言います。

そしてそれをいかす生まれ持った資質としては

『教育本能』『個別化』を挙げています。

その後に、それを生かすためのスキルや考え方が続きます。


リーダーがいつも考えているたったひとつのこと、それは、

『よりよい未来に向けて人々を一致団結させる』だと、言います。

そしてそれをいかす生まれ持った資質としては

『楽観主義』『自我』を挙げています。


非常にすっきりしていて、ぼくは、納得がいきました。

ぼくには、リーダーとしてもマネジャーとしても、残念ながら資質はなさそうです。

もしそういう役職が避けられない場合は、

スキルや知識を駆使して、何とかやるしかなさそうです。


本筋からは大きくそれますが、

あなたが幸せな結婚生活について知らなければならないたったひとつのことも

書かれており、面白かったです。

それが何かは読んでたしかめてみてください。

2010年6月28日月曜日

反社会学講座


パオロ・マッツァリーノ

反社会学講座


ちょっと内容古くなってきてるし、

かなりふざけた内容なので、紹介するかどうか、迷ったのですが、

まぁ、『面白いからいいか』ってことで取り上げてみました。


内容は、世の中の通説に対して、

実は、その根拠が乏しいことを示し、

様々なデータを示しながら、著者の意見を展開します。

少年犯罪は増えているのか?
日本人は勤勉か?
少子化は本当に問題か?   などなど。


なんといっても、素晴らしいのは、社会の常識に対するつっこみの入れ方です。

医療においても、大切なのは、常に批判的吟味を行うことです。

上司や同僚の意見を参考にしながらも、本当かどうか裏をとり、

教科書やガイドラインに書いてあることの裏をとり、

そして、原著を批判的吟味しながら読む。

なんか、嫌な奴みたいですが、患者さんの利益を守るためには大切なことです。

この本を通して、この、批判的吟味を行うセンスを磨いて欲しいと思います。

たぶん、磨けます。。。最悪磨けなくても、読んで楽しめます。

2010年6月27日日曜日

統計でウソをつく法


ダレル・ハフ

統計でウソをつく法 -数式を使わない統計学入門-


訳者あとがきから抜粋

『統計からウソをつく法』とは、いかにもふざけた書名のようである。
ところが、彼のねらいは、統計もしくは統計学を、ありきたりの
メインストリートからではなく、裏街道からはっきりさせてみようと言うわけである。
この本は人々に本当の統計の使い方を教えてくれるだろう。

抜粋終わり


医師にとって、統計のスキルは必須です。

これは研究に携わるときに限りません。臨床を行うときにも欠かせないスキルです。

主観的にしか経験できない、限られた数しか経験できない症例を通して、

以下に自分の診療を冷静に客観的な視点から観察しながら、

経験を蓄積していくか、そのためにも、統計のスキルは必須といえます。


医師向けの統計学の本は数多く出版されておりますが、

それを紹介するのでは、当ブログの主旨に反します。

今回の『統計でウソをつく法』は1968年が第1版のBLUE BACKSです。

その内容は、わかりやすく、非常に的確であり、統計学の入門書としてうってつけです。

それだけにこれだけの長い時間読み継がれて来ているのだと思います。

ここで学んだことは、そのまま、医療に生かすことができます。



2010年6月19日土曜日

影響力の武器


ロバート・B・チャルディーニ

影響力の武器


アメリカを代表する社会心理学者の1人で、自分自身だまされやすい人間だったという著者が、

多彩な実例を挙げながら、人間心理における承諾のメカニズムを解明していきます。


なかなか商品が売れないお土産屋さん。
店主はいい加減商品が売れないのに頭がきて
『その陳列ケースの品は、全部価格に1/2を掛けておいて』とメモを残しておきます。
担当者は、メモを読み間違い、価格を2倍にしてしまいます。
ところが、陳列ケースの品はほとんどが売れてしまいました。
なぜでしょうか?


著者は、統計学を専門としている友人とともに、
超越瞑想プログラムの入門講座に潜入します。
このプログラムでは、初歩は心の安らぎから、
プログラムが進めば超人的な能力がこの瞑想によって手に入ると勧誘します。
著者と友人は、講義終了後の質問時間に、
講義の中で用いられていた内容が、どう矛盾し、いかに非論理的であるかを、
正確に指摘しました。それに対して講演側は反論できませんでした。
ところが、その議論を聞いていたにもかかわらず、
数多くの参加者はそのプログラムに参加しようとしました。
なぜでしょうか?


クリスマスシーズンから一ヶ月後、町の大きなおもちゃ屋さんで、
人気のあるおもちゃを子供のために買いに行きました。
そこでおなじおもちゃを買いにきている友人に出会います。
なんと、その友人には同じ時期に、去年もその場所で会っていたのです。
なぜでしょうか?


テレビ関係者はどうして録音笑いをこれほど頻繁に使用するのでしょうか?
視聴者は不愉快に感じ、出演者は侮辱を感じると言うのに、
録音笑いを使用すれば、実際の笑いの回数も長さも多くなることが分かっています。
なぜでしょうか?


ある種の自殺が広く報じられた直後には、
商業用飛行機の墜落で死亡する人の数が10倍になることが明らかになっています。
さらに驚くことに、自動車事故による死亡も急増するのです。
なぜでしょうか?


ある病院で、実験が行われました。
会ったこともない医師からの電話による指示にもかかわらず、
適応外使用の薬品の投与だったにも関わらず、
その投与量は適応量の倍であったにもかかわらず、
95%の看護師がこの医師の指示に躊躇なく従おうとしたのです。
なぜでしょうか?


学術雑誌にすでに投稿されており、有名大学の研究者によって書かれた論文を選び、
内容はそのままに、投稿者の名前だけ無名な研究者に変えて、
その論文が掲載された雑誌に再び投稿しました。
このうち9編は投稿済みであることが確認されずに審査に回され、
このうち8編は棄却されました。
なぜでしょうか?


医師は多くの人に影響を及ぼします。

もちろん、多くの人から影響を受けます。

悪い結果を生む影響力を排除し、

良い結果を生む影響力を生み出すためには、

人間がどのように影響を受けやすいかを知っていなければなりません。

2010年6月8日火曜日

ビジョナリーカンパニー


ジェームズ・C・コリンズ

ビジョナリーカンパニー

『真に卓越した企業と、それ以外の企業との違いはどこにあるのか?』

比較対象としている企業はダメな企業ではなく、

金メダリストの企業と銀メダリストの企業を比較して、

ビジョナリーカンパニーの特徴を解き明かします。


ビジネス書の多くは、臨床医学に例えれば、症例発表です。

確かにそういった症例(成功例または失敗例)があったかもしれませんが、

それが普遍的な事実なのか、たまたまその人(企業)がそうであったのかは不明です。

ビジネス書は社会科学を扱っており、自然科学のように前向き研究はほぼ不可能であり、

その内容がどこまで偶然ではなく真実なのかは多くの場合不確定です。

しかし本著は、ケースコントロール研究を行っており、

それゆえに、その結果に説得力が生まれています。


気になった項目です。

☆ BHAG(Big Hairy Audacious Goals);社運をかけた大胆な目標をもつ

☆ 大量のものを試して、うまくいったものを残す

☆ 決して満足しない


でも、まぁ、一番のこの本の魅力は、

理想的な企業の姿に触れることによって、

組織の在り方について考えさせられ、

そして『やる気が生まれる』ことだと思います。

医師の多くが所属している組織である、病院であれ、医局であれ、多くの場合は、

ビジョナリーカンパニーと比較すれば、なんと未成熟な組織かと思い知らされます。

そういったことを自覚することから、少しでも優れた組織になるための

第一歩が始まる気がします。

2010年5月30日日曜日

ウェブ進化論


梅田 望夫

ウェブ進化論


新書といっても2006年発行です。

ですが、多くの人にとってまだ新しい内容であると思います。


けっしてインターネットに限定した話ありません。

これは、情報の共有・伝播の話でもあると思います。


医療において知識・情報が担う役割が大きいことは周知です。

ところが、医療においてこそ、知識は多くの人に共有されるべきなのに、

まだまだ国内であっても固定的であり、

そして言語的な問題から、国外の知識はさらに共有しづらくなっています。


以下抜粋

そしてそれは、詰まるところの『プロフェショナルとは何か』
『プロフェッショナルを認定する権威とは誰なのか』
という概念を革新するところへとつながっていく。
英語圏では、分野限定的だがこの問題が表面化しつつある。
ネット上の玉石混合問題さえ解除されれば、在野のトップクラスが情報を公開し、
レベルの高い参加者がネット上で語り合った結果まとまってくる情報のほうが、
権威サイドが用意する専門家(大学教授、新聞記者、評論家など)
によって届けられる情報よりも質が高い。
そんな予感を多くの人が持ち始めた。
そしてこの予感が多くの分野で現実のものとなり、
さらに専門家もネット上の議論に本気で参加し始めるとき、
既存メディアの権威は本当にゆらいでいく。

抜粋終わり


権威による講演や出版物を通しての情報の提供

徒弟制度による情報の提供

も大切な情報の入手方法です。

しかし、医療の性質上、もっと、情報に流動性を持たせて、

多くの人が入手しやすい状態にしていくことが必要でないでしょうか?



そしてもうひとつ、オープンソースの話に言及しています。


以下抜粋

『オープンソース』とは、
『知的資産の種がネット上に無償公開されると、
世界中の知的ソースが自発的に結びつき』
しかも『集権的リーダーシップが中央にいなくとも、
解決すべき課題に関する情報が共有されるだけで、
その課題が次々と解決される』という原理原則に基づき、
複雑的な構築物でも開発できるという発見を意味していた。
そしてその発見は、『なぜ人は働くのか』『企業組織だけが万能ではないんだな』
といった普遍的かつ根源的な問いかけや予感をも誘発した。
『オープンソース』はソフトウェア世界を超え、
世の中全体に応用できる考え方なのではないかと思わせるだけの、
不思議な魅力を秘めていたのだ。

抜粋終わり


研究をされている方は、統計ソフトを使用されることも多いと思います。

最近は『R』という統計ソフトが、オープンソースとして公開され、

だれでも無償で使用でき、そしてその内容は、

有償のソフトと差がないものとなっています。


こうした話が当たり前だと思えない方は、

ぜひ、一度、読んでみていただきたいと思います。

2010年5月26日水曜日

『学び』で組織は成長する


吉田 新一郎

『学び』で組織は成長する


ぼくがビジネス書を読むようになったのは、

毎日精いっぱい生きる事が一番の修行なのです

がきっかけです。確か、この新書もここで紹介されていました。


学習と組織という視点のビジネス書としては

最強組織の法則

が有名だと思いますが、ぼくは挫折しました。

こちらは、新書だけに、読みやすく、内容も吸収しやすくなっています。


取り入れやすい学習法が、

1人でできる学び

2人でできる学び

チームでできる学び

組織レベルの学び

とわけて、列挙されており、取り入れやすくなっています。


医者が医局に所属している理由としては、人事的な要素も大きいとは思いますが、

所属していることで、学習し、成長する機会が多く得られるということもあるはずです。

昨今、医局の組織力の低下は、

医者にとって学習する機会が以前よりも医局外でも幅広く提供されるようになり、

医局が学習と成長を以前より後押しできなくなっていると言うのも理由な気がします。


ドラッカーも、

『働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。

そのためには、

①生産的な仕事

②フィードバック情報

③継続学習

が不可欠である。』


と言っています。


もし、医局や、病院の組織力が落ちていると感じるのであれば、

所属する医師にとって、

学習しやすい環境になっているかという視点も大切だと思います。

2010年5月7日金曜日

さぁ、才能に目覚めよう


マーカス・バッキンガム

さあ、才能に目覚めよう


成長するためには、弱点を克服すべきでしょうか?

それとも、強みを伸ばすべきでしょうか?


前回、紹介したドラッカーの『プロフェッショナルの条件』でもこう言っています。

『誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思っている。

だが、たいていは間違っている。

わかっているのはせいぜい弱みである。それさえも間違っていることが多い。

しかし何事かを成し遂げるのは、強みによってである。

弱みによって何かを行うことはできない。

できないことによって何かを行うことなど、とうていできない』




本著では、

「人間の持っている34の強みとなりうる資質」について細かく分析し、

強みの活かし方を教えてくれます。


自分が幸せに生きるためには、自分がやりたいことをやったほうがいい、

というのは言うまでもなく、

自分の「強み」をなるべく活かすような人生にしたほうがいい、

というのは当然だと思われます。

ところが、自分の強みとは何なのかが、普通はなかなかわからないものです。

では、自分の強みはどこにあるのか、それを知る上で非常に有効なのがこの本です。

自分の強みが分かると、自分の好みや行動パターンも得心できるし、

逆に自分の弱点がわかれば、弱点ともうまく折り合っていけるようになります。


なんと、この本、カバーの裏側にIDがプリントされていて、

ウエブサイトにアクセスすると無料で診断が受けられ、

自分の強みとなりうる資質を見つけてくれるのです。

さらに、その強みそれぞれを伸ばすにはどうしたらいいかについても、

教えてくれます。


大切なことは、教えてくれるのは資質であり、

その資質を生かして強みとして伸ばせるかは、その人の行動次第です。

資質がマイナスに作用して、弱点にもなりえます。

僕自身、自分の資質を意識して、

強みを伸ばすプロセスを様々なところに取り入れることに非常に役立っています。

身近な人を理解して、その人とWin-Winな関係を築くことにも役立つはずです。

2010年5月4日火曜日

プロフェッショナルの条件


P.F.ドラッカー

プロフェッショナルの条件

医師にとってビジネス書の中でも

入りやすい分野の一つが、プロフェッショナル論だと思います。


どうしたら、さらなる高みに達することができるか、

どうしたら、プロとして胸を張れるのか、

プロフェッショナルの条件とはいったい何でしょうか?



著者のドラッカーは、現代マネジメント思想の巨人と言われ、

その思想は経済界に強い影響力を及ぼしています。


内容は、初めに読むには少し難しいかもしれません。

ただ少し難しくても、まずは読んでみてください。

そして難しければ、また、読み返してみてください。

再読した時に、新たな発見があり、そして、

自分の成長を確認することができると思います。


ドラッカーは、セルフマネージメントについて、

自身の人生を変えた経験として以下をあげています。

1)ビジョンを持つこと

2)神々が見ているという考え方(真摯さを重視する)

3)継続学習を行う

4)仕事ぶりの評価を仕事そのものの中に組み込む

5)記録し、実際の結果と比較する

6)新しい仕事が要求するものについて徹底的に考える

2010年4月30日金曜日

道は開ける


D・カーネギー

道は開ける


もう一冊カーネギーです。


人生に悩みはつきものです。

医師も例外ではありません。

特に重症の患者さんを担当しているときは気が休まる暇がありません。

そして、その悩みは、病院を離れても常につきまとわり、医師を疲労させます。


カーネギーが悩みへの対処の仕方を教えてくれます。

原著のタイトルは、

『HOW TO STOP WORRYING AND START LIVING』です。

カーネギーは、悩みに関する基本事項の一つとして、


①今日一日の区切りで生きる


②(1)起こりうる最悪の事態とは何か?と自問する

 (2)やむ得ない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をすること

 (3)それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力すること



③ 悩みに対する戦略を知らないものは若死にする。思い悩まない

と言います。


そして、

悩みを分析する基礎技術

悩みの習慣を絶つ

平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法



と続きます。


ぼくは特に、明日への配慮は行っても心配はしないを心がけています。

かのウィリアム・オスラー先生も、その講演でこう言っています。

『過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。

今日一日の区切りで生きよう』

2010年4月27日火曜日

人を動かす



D・カーネギー

人を動かす


僕が一番初めに読んだビジネス書です。


言われてみれば当たり前のことが多いかもしれませんが、

読む前と読んだ後では、

人間関係に対する見方がガラッと変わります。

と同時に、人間関係のわずらわしさも軽減されると思います。


患者さんと医師の関係

コメディカルと医師の関係

同僚の医師同士の関係

医療において常に人間関係に悩まされます。

カーネギーが上手な人との付き合い方を教えてくれます。

原著のタイトルは

『HOW TO WIN FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』です。


カーネギーは人を動かす3原則として、

以下の3つを提示しています。


けっして非難、批判しない

ひとは誰でも自分は正しいと考え、

批判されたことは根強く覚えているものです。

英国の偉大な文学者の言によると

『神様でさえ、人を裁くには、その人の死後までお待ちになる』

まして、われわれが、それまで待てないはずはない。


長所を見つけ、率直にほめる

人をあつかうことに長けているある企業家の言葉

『わたしには、人の熱意を呼び起こす能力がある。

これが、私にとっては何物にもかえがたい宝だと思う。

他人の長所を伸ばすには、褒めることと、励ますことが何よりの方法だ。

上司から叱られることほど、向上心を害するものはない。』


他人の立場になって考え、強い欲求を起こさせる

人を説得して何かをやらせようと思えば、口を開く前に、

まず自分にたずねてみることだ

『どうすれば、そうしたくなる気持ちを相手に起こさせることができるか』


といいます。


その後、

人に好かれる6原則

人を説得する12原則

人を変える9原則

と続きます。


対人関係に疲れ、心すさんだ時に、

すぐに手を伸ばせるところに置いておきたい一冊です。

そして社会人になった人に、まず初めに読んでいただきたい一冊です。

お父さんが自分の子供が社会人になった時に贈ることが多い一冊だそうです。

2010年4月23日金曜日

医師に対するビジネス書のススメ

医療はサービス業であり、ビジネスでもあります。

では、医師はビジネスマンでしょうか?



やはりそれはちょっと違うと医師の皆さんは思われると思います。

まず医師にとって必要なのは、医療技術や知識です。

診断に関する知識、治療に関する知識、そしてそれに関連した様々な手技や手術。


そしてその次に必要になることが多いのは、科学者、研究者としての技術です。

時には教育者としての技術かもしれません。


しかし、やはり、医療というサービス業にかかわっている以上、

当然、一般的なビジネス力も医師には必要なのです。

医師が時に世間の常識からはずれた行動をしてしまうのは、

一般的なビジネス力がないことが1つの原因かもしれません。

医療にイノベーションがすすまず、マネージメントが希薄なために

医療費の高騰が解決されないのは、

医師のビジネス力と無関係でないかもしれません。



残念ながら、医師がビジネススキルを学ぶ場はほとんどありません。

そこでビジネス書を読むことをお勧めします。

最近、ビジネス書が数多く出版され、

ビジネススキルを簡単に勉強できるようになっています。

医師にとって、ビジネス書なんて関係ないと思わず、

ぜひ手にとって読んでみてください。


ビジネス書は、医学のような自然科学ではなく、社会科学です。

そしてその前に多くは、エンターテイメントです。

楽しんで読んでほしいと思います。


当ブログは、おすすめのビジネス書を紹介していきたいと思います。


それでは、みなさん、よろしくお願いします。