2010年9月11日土曜日

最前線のリーダーシップ


ロナルド・A・ハイフェッツ、マーティ・リンスキー

最前線のリーダーシップ


ハーバード大学ケネディ行政大学院の教授による著書で、

いかにして人が『リーダーシップ』という行動を起こせるかという、

その具体的な方法について教えてくれます。


そもそも、リーダーシップを発揮するということは、

危険な生き方をするという前提から始まります。

その最悪な結果の1つが暗殺であったりします。

それでも、リーダーシップにリスクを冒すだけの意味があるのは、

周囲の人々の生活をよりよくすることで、人生に目的と意味をもたらすからです。


リーダーシップのたった1つの正解となる方法はありません。

時代、環境、人、様々な要素によって求められるリーダーシップはかわり、

たとえ、同じ条件であっても、別のやり方が求められることもある、

極めて、即興的な要素をもつものだと思います。


それでも、本著が教えてくれるような、戦略的な、リーダーシップのプロセスを、

押さえておくことは、リーダーシップを発揮する時に、

かならず役に立ってくれると思います。


医師も患者さんに最善の結果をもたらすために、

リーダーシップは常に求められるはずです。

時に、価値観、生活態度、長年の習慣を見直すという難題に

患者とその家族を引きこんでしまうことは、リスクの高い仕事となります。

患者の非難を恐れて、面と向かっては調子のいいことしか言わない一方で、

患者の不履行に文句を言っていないで、

こういった難しい作業に立ち向かうためにも本著は役に立つはずです。


以下に簡単に要約しておきます。

いろいろな歴史的な例を用いて、わかりやすく説明していってくれます。


【1】全体像を知る(バルコニー席に上がる

①技術的な問題か、適応が必要な問題かをみきわめる

技術的な問題⇒既存の知識で適応できる、権威のある人が対応できる

適応を必要とする問題⇒新たな方法を学ぶ必要がある、問題を抱える人たち自身で対応
(人々の習慣、考え方、価値基準の変化を迫り、抵抗を招く)

②人々の立ち位置を知る

③言葉の奥に潜む歌に耳を傾ける

④権威者の行動を読む


【2】政治的に考える

①パートナーを見つける

②反対派を遠ざけない

③自分が問題の一部であったことを認める、喪失を認識する、
自らモデルになる、犠牲を受け入れる


【衝突を指揮する】

①適応を促す環境を確保する

②熱気を調整する

③ペースをつくる、よいタイミングで行動を起こす

④将来像を見せる


【当事者に作業を投げ返す】

介入し、結果を評価し、介入を修正し、再評価し、再び介入する


【攻撃を受けても踏みとどまり次のことを検討】

①ほかのどのような懸念事項が問題にかかわる人を忙しくしてしまっているか

②その問題を取り上げることで、どのくらい深く人々が影響を受けるか

③人々は取り上げられる問題をどの程度深く学ぶ必要があるか

④権威ある立場の人は、その問題についてどのような意見を持っているか

⑤パートナーとは別に相談者を見つける

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