2010年12月25日土曜日

イノベーションのジレンマ




クレイトン・クリステンセン

イノベーションのジレンマ

イノベーション(innovation)とは、

物事の「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。

新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、

社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。

(以上、Wikipedeiaより)


本著では、まずはイノベーションを

『持続的イノベーション』と『破壊的イノベーション』に分類します。

『持続的イノベーション』

製品の性能を高める(断続的、急進的、少しずつ、スピードは様々)

主要市場のメインの顧客が評価している性能指標に従って性能を向上させる

『破壊的イノベーション』

少なくとも短期的には製品の性能を引き下げる効果を持つ

従来とは異なる価値基準をもたらし、主流市場ではなく、新しい顧客に評価される

1) まずは既存企業で開発される
2) マーケティング担当が主要顧客に意見を求める
3) 実績ある企業が持続的技術の開発速度を上げる
4) 新企業が設立され、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される
5) 新規参入企業が上位市場へ移行する
6) 実績ある企業が顧客基盤を守るため遅まきながら時流に乗る


そして、その次に、破壊的イノベーションがなぜ、

大企業に失敗をもたらすのか、

そして、それを回避するための手段に議論が展開していきます。

① 企業は顧客と資本家に資源を依存している

現在属している上位のバリューネットワークの顧客と資本家には評価されない

② 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない

小規模市場は粗利益率が低く、小規模なため大規模企業の成長率を満足できない

③ 存在しない市場は分析できない(最終的な用途が分からない)

④ 組織の能力は無能力の決定的な要因になる

大企業のプロセスと価値基準が新規市場開発には邪魔になる

⑤ 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない

対応策;

① 破壊的技術を必要としている顧客がいる組織に任せる、資源を流れるようにする

② 独立組織は、小さな勝利でも前向きになれるように小規模にする

③ 失敗に備える。初期の努力は学習と考え、常に余力を残す。

④ 躍進を期待せずに、早い段階から移行する。

2010年12月20日月曜日

ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則


ジェームズ・C・コリンズ

ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則

以前紹介した、『ビジョナリーカンパニー』

金メダルの企業と、銀メダルの企業の比較でした。

正直、まずは銀メダルの企業に成長することでも十分でしょう!

そこで、今回は、原題の『good to great』があらわしているように、

平均からちょっといい状態から、卓越した状態になるにはどうしたらいいかに

焦点を当てています。


方法論は前回と一緒です。

飛躍を遂げた11社に対して1万5000時間に及ぶ調査を実施し、

さらにライバル会社との詳細な比較検討を行い、

飛躍を遂げた企業に共通してみられる法則を明らかにします。


以下は要約です。

【1】 第5水準のリーダーシップ

・ 個人としての謙虚さと職業人としての意志の強さという矛盾した性格を併せ持つ

・ 野心的であるのは確かだが、野心は個人ではなく組織に向けられている

・ 徹底して謙虚であり控え目であり飾らない

・ 熱狂的といえるほど意欲が強く、すぐれた成果を持続させなければ決して満足しない


【2】 最初に人を選び、その後に目標に選ぶ

・ 『誰を選ぶか』をまず決めて、その後に『何をすべきか』を決める

・ 人事の決定に厳格であって冷酷ではない

(最大のボトルネックは、適切な人々を採用し維持する能力である)

・ 人材は最重要の資産ではなく、適切な人材こそが最も重要な資産なのだ

・ 適切な人材なのかは、専門知識、学歴、業務経験より、性格と基礎的能力によって決まる


【3】 厳しい現実を直視する

・ 自分が置かれている現実の中でもっとも厳しい事実を直視する、
  真摯に懸命に取り組めば、正しい決定が自明になることが少なくない

・ 上司が意見を聴く機会、そして究極的には真実に耳を傾ける企業文化を作り上げる

・ 上司が真実に耳を傾ける社風をつくる基本的に方法は
(1) 答えではなく、質問によって指導する
(2) 対話と論争を行い、強制はしない
(3) 解剖を行い、非難はしない
(4) 入手した情報を無視できない情報に変える仕組みを作る

・ ストックデールの逆説:どれほど困難にぶつかっても、
  最後には必ず勝つという確信を失ってはならない

・ 動機付けに努力するのは時間の無駄、適正な人がバスに乗れば自然と意欲を持っている

・ 厳しい現実を無視するのはやる気をなくなさる行動で特に打撃が大きい


【4】針鼠の概念

・ 三つの円が重なる部分を深く理解し、単純明快な(針鼠の概念)を確立する

・ その際のカギは、自社が世界一になれる部分はどこか、そして同様に重要な点として、
  世界一になれない部分はどこかを理解にすることである(世界一になりたい分野ではない)。
  針鼠の概念は目標ではないし、戦略でもないし、意図でもない。理解である。

(1)自社が『世界一』になれる部分
(2)『情熱』をもって取り込めるもの
(3)『経済的原動力』になるもの

・ 針鼠の概念を獲得するまでに平均4年かかっている


【5】人でなく、システムを管理する(規律の文化

・ 偉大な業績を維持するカギは、みずから規律を守り、規律ある行動をとり、
  3つの円が重なる部分を熱狂的ともいえるほど重視する人たちが集まる企業文化を作り上げること

・ 適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろせば、組織を窒息させる官僚制度は不要になる

・ 規律のある文化には二面性がある、一方では一貫性のあるシステムを守る人たちが必要で、
  他方ではこのシステムの枠組みの中で、自由と責任を与える

・ 内部を詳しく見てみると、極端なほど勤勉で、おどろくほど徹底して仕事に取り組む人たちが大勢いる(コッテージ・チーズを洗う人たち)

・ 偉大な業績を持続させるのにもっとも重要な点は、針鼠の概念を熱狂的ともいえるほど信奉し、
  3つの円の重なる部分に入らないものであれば、どんな機会でも見送るほど強い意志を持つことである

・ 『やめるべきこと』のリストは、『やるべきこと』のリストよりも重要である


【6】新技術にふりまわされない

・ 飛躍した企業では技術の流行に乗るのは避けているが、
  身長に選んだ分野の技術の利用では先駆者になっている、
  決定的な問いは針鼠の概念に直接適合しているかどうか

・ 思慮深く、創造性豊かに対応し、自社の可能性を実現したいとの動機によって行動する


【7】劇的な転換はゆっくりすすむ(弾み車と悪循環)

・ 偉大な企業への飛躍は、外部から見ると劇的で革命的に見えるが、
  内部から見れば、生物の成長のような積み重ねの過程だと感じられる

・ 長期間にわたって、一貫性を持たせて一つの方向に押し続けていれば、
  弾み車に勢いがつき、やがて突破段階に入る

・ 飛躍した企業の内部にいた関係者は、転換の時点ではその規模の大きさに気付かず、
  後に振り返ってみてはじめて、大規模な転換であったことに気がつく。
  『力の終結』『動機づけ』『変化の管理』にはほとんど力をいれていない


要約終わり


現時点で、印象に残ることは、

一番大事なのは、人!!

その次に、窮鼠の概念!!

確かに、大きな企業であれば、優秀な人材を集めるところからスタートできるでしょう。

でも、中小企業はそうもいかないはずです。

病院だって同じです。

限られた人材で、どう成果を出していくか、

それに悩んでるところが実際には多いはずです。

まずは、goodになる方法を知りたいところです。

2010年12月11日土曜日

まず、ルールを破れ


マーカス・バッキンガム&カート・コフマン

まず、ルールを破れ すぐれたマネジャーはここが違う


『さぁ、才能に目覚めよう』

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』

の著者のマーカス・バッキンガムの著書で、

相変わらず、わかりやすく、明快なフレームワークが展開されます。


マーカス・バッキンガムが言うところのマネジャーとは、

『部下1人1人の特色を発見し、それを有効に活用すること』

であり、本著では、そのための、フレームワークが紹介されています。

部下の強みを伸ばす助けをし、

そしてその強みが生かせるように適材適所を行うということです。


そんな、上司や、組織に恵まれることはなんと幸せなことでしょう。

少なくとも、僕の周囲では、そういったことはほとんど行われていません。

逆に、ただ人数合わせのための配置転換のため、

その医師の個性や強みが無視されて、結果、疲弊して、

辞めていく姿のほうを多く見かけます。


こういったことを、組織に期待することはなかなか困難な状況です。

やれることは、セルフマネージメントです。

以下のようなフレームワークを生かして、

自分の強みを伸ばし、

自分に合った職場に就けるように努力していくしかありません。


以下抜粋

まずは以下の質問で、評価を行う。

ベースキャンプ『何が手に入るのか

Q1;自分が何をすべきか、要求されていることが分かっているか?

Q2;自分の仕事を適切に遂行するために必要な材料や道具類はそろっているか?


キャンプ1『自分はどんな貢献をしているか』

Q3;毎日最高の仕事ができる機会に恵まれているか?

Q4;最近1週間で、仕事の成果を認められたり、誉められたりしたことがあるか?

Q5;上司や仕事仲間は、自分を一人の人間として認めて接してくれているか?

Q6;仕事上で自分の成長を後押ししてくれる人がだれかいるか?


キャンプ2『自分はここの人間なのだろうか』

Q7;仕事上で自分の意見が尊重されているか?

Q8;会社のミッション・目的を前にして、自分自身の仕事が重要だと感じられるか?

Q9;仕事仲間が責任を持って精一杯クォリティーの高い仕事をしているか?

Q10;仕事仲間にだれか最高の友達がいるか?


キャンプ3『全員が成長するにはどうしたらいいか』

Q11;最近半年間で、自分の進歩に関して誰かと話し合ったことがあるか?

Q12;仕事の上で学習し、自分を成長させる機会を与えられたことがあるか?


まずはベースキャンプとキャンプ1(Q1~Q6)を満たすことが重要。

それが満たされない状態でキャンプ2-3が実現されても高山病でうまくいかなくなる。

そのためには、『人を選ぶ』『要求を設定する』『動機付けをする』『育てる』ことが必要。

Q1・2→要求を設定する(適切な手順を定めるのではなくて、成果を適切に定義する)

Q3→人を選ぶ(知識、経験、意志の強さではなく才能で選ぶ

Q4・5→動機付け(弱点の克服ではなく、強みを生かす)

Q5・6→育てる(単に梯子を継ぎ足すのではなく、強みに適した場所を探る)


パフォーマンス計画面接(年に4回×1時間)を行う。

前もって以下の質問の答えを書いておかせること(A-Bは10分間)

A:どんな行動をとったか(過去3か月の部下の細かなパフォーマンス)

B:どんなことを発見したか(本人の学習効果から目を離させない)

C:どんな協力関係を築いたか

D:あなたが今一番力を入れていることは何か?(次の3か月の目標は?)

E:どんな新しい発見をしようとしているか?(次の3か月で何を発見したいか)

F:どんな協力関係を築きたいと思っているか?

2010年12月7日火曜日

採用氷河期


原 正紀

採用氷河期;若手人材をどう獲得するか

今年は就職氷河期で、多くの学生さんが苦労しています。

一方、数年前までは、採用氷河期でした。

今年でも、中小企業ではまだまだ採用困難な状況もあるようです。


一方、医療の世界では、特に医師不足を反映して、

多くの医局や病院で相変わらず人材不足です。

いかにして若手人材を獲得するかは必須の課題であります。


どのように、人材を確保していくかについて扱った本は多くなく、

この本はその中でも参考になる一冊といえると思います。


著者の原 正紀さんは、リクルートで長年、

人材採用・教育、キャリア開発に関する事業を行ってみえ、

本著ではそのノウハウが紹介されています。


以下要約

採用力 = 企業力 × 採用マインド × 採用スキル

企業力    =急激な向上は困難、重要なのは現状の魅力の整理と伝達

採用マインド =ビジョンや理念を持ち、組織として共通した一貫性のある採用マインドを持つ


① 採用準備

(採用コンセプト、採用目標、採用スタッフ)

② 採用戦略立案

・ 求める人物像の設定(ペルソナ)
・ 創業期;ビジョン、可能性、人材への期待感  
  成長期;事業戦略、未完の魅力と到達点、期待の大きさと達成感   
  安定期;優位性、安定度、充実度、チームワーク
・ モチベーションの源泉でアピール(P142)
・ 採用体制のポイント;トップ層の取り込み、採用スタッフの選任、採用支援体制

 ⇒ビジョン、魅力を共有。人物像の設定。体制の決定。

③ 情報提供(情報提供ルート、双方性と両面提示)

・ 情報提供ルートを数多く持つ
 (学校ルート、メディアルート(デジタル・アナログ)、
  人ルート、イベントルート、公的ルート)
・ 情報提供のタイミングが重要(就職活動スケジュールを把握)
・ 初期に情報提供することが重要(刷り込み効果)
・ 何を伝えるか(理念・ビジョン、社風、仕事内容、キャリアについて)
・ 人だし

④ 人的接触・会社説明会(接触する社員の意思統一、人のつながり

・ 業界⇒企業⇒事業⇒仕事⇒社員
・ リクルーター
 (情報提供、印象付け(インパクト)、共感性、動機づけ(差別化)、決断促進、フォロー)
・ 説明会(P206)

⑤ 面接・選考

⑥ 内定・フォロー(動機づけを強化、辞退を防止)

・意識ギャップの解消、動機付けの強化、内定辞退の防止、即戦力化


チェックポイント

①⇒採用コンセプトはありきたりでないか、
  採用目標の設定は具体的で実現性があるか、
  採用体制は全社的か

②⇒求める人物像は十分練られているか、訴求するコンテンツに共感性があるか、
  実行戦略は競争力があるか

③⇒情報提供は効果的か、母集団形成は十分か

④⇒協力者の意思統一情報提供は十分か、社内協力者の質量はじゅうぶんか、
  説明会は差別化されているか

⑥⇒内定者とのリレーションは強まっているか、連絡は十分に取っているか