2011年2月26日土曜日

キャズム


ジェフリー・ムーア

キャズム


マーケティングの本です。

前半は、『キャズム』についての説明がなされ、

後半は、『キャズム』を超えるための、戦略について書かれています。

正直、後半はついていけませんでした。

しかし、前半だけでも、一読の価値はあると思います。

ぼくは普段は、アーリー・マジョリティーか、レイト・マジョリティーで、ごく平均的です。

仕事に関しては、時に、アーリー・アドプターかもしれません。

研究者としては、イノベーターであるべきでしょうが、

臨床家としては、アーリー・アドプターからアーリー・マジョリティーが望ましいでしょうか?

医療にキャズム理論を汎用するのは無理がある?





まずは、『キャズム』についてです。

例えば、電気自動車を例にとってみるとすると、

こうした新しいテクノロジーには全く興味を示さない人は、

『ラガード』(無関心層)にあたります。

電気自動車の効用が証明されて、電気自動車向けのサービスステーションが

町中に見られるようになったら買うなら、その人は現実的な購入者、

すなわち『アーリー・マジョリティ』である。

ほとんどの人が電気自動車に乗り換えて、ガソリン自動車を運転することが

不便になってきたら買うなら、その人は追随者、

つまり、『レイト・マジョリティー』である。

逆に、近所でまだだれも電気自動車を持っていない時に買おうとする人は

『イノベーター』(革新者)、

あるいは『アーリー・アドプター』(先駆者)である。

そしてそれぞれは、概ね、標準偏差に従って区分される。


そして、アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間を分かつ深く大きな溝、

それがすなわち『キャズム』である。

これは、テクノロジー・ライフスタイルにおいて、

超えるのが最も難しい溝である。

そしてこの溝は、通常は見過ごされているだけに、危険である。


キャズムを超えるときの大原則は、

特定のニッチ市場を攻略地点と設定し、

もてる勢力を総動員してそのニッチ市場を支配することである。

その後、その具体策が展開されます。

2011年2月17日木曜日

『経験知』を伝える技術


ドロシー・レナード+ウォルター・スワップ

経験知』を伝える技術 ディープスマートの本質


『経験知=ディープスマート』は、その人の直接の経験に立脚し、

暗黙の知識に基づく洞察を生み出し、

その人の信念と社会的な影響により形づくられる強力な専門知識をさす。


医師の診療技術・知識=ディープスマートはどのように培われ、

それを効率よく移転(教育)するためには、どうしたらよいのか、

という話です。


キーワードは、『知識』『経験』『信念』『レセプター』です。

つまりは、大量の『情報』の海の中から、

その人が『経験』により培ったパターン認識能力によって、

『ディープスマート』を築いていく。


そしてどのような『情報』を取捨選択して『ディープスマート』を築いていくかには、

経験や文化によって培われた『信念』が大きく関与する。


『ディープスマート』を転移するためには、

相手に知識転移のための『レセプター』が必要である。

ということになります。


以下要約です。

エキスパートのディープスマートとは?

複雑な分野では、ディープスマートを築くのは約10年かかる。

エキスパートは、文脈に基づく抽象化された深い知識を持っているので、

基本的な事実関係をいちいち検討しなくても、迅速に決定を下せる。

直観とは、迅速で効率的なパターン認識である。


ディープスマートの組み立てられ方;経験を通じて学ぶ

個人も組織も、時間がたつにつれて経験のレパートリーが増える。

1つの極端な経験しかないとそれ以外の状況ではうまくいかない。

第1にレセプター、第2にモチベーション、第3にフィードバック。

ディープスマートを育むうえで欠かせないのは、計画的な練習をする意欲。

新しい知識を吸収するには、脳内にしかるべきレセプター(受容体)がなくてはならない。

言い換えれば、新しい経験を受け入れる心理状態にあり、

あらかじめ十分な精神度台を持っている必要がある。

その土台がないと、新しい情報はただの情報にとどまり、知識に転換しない。


ディープスマートの形成には信念が関与する

知識とは『正当化された真なる信念』といえる。

自分は自分の個人レベル、専門分野レベル、組織レベル、文化レベルの

中核的信念を真実だと信じており、しかもそうした信念はおおむね暗黙のもので、

変化しにくい。それをほかの信念の体系とすり合わせるのは難しい。

だが、自分の信念が自分だけの固定観念にすぎないとわかれば、議論と相互理解への道が開ける。

あるグループやそのメンバーに強くあこがれると、そのグループは私たちの『部族』になる。

『部族』は私たちの中核的な信念や行動、知識に強い影響を及ぼす。


ディープスマートを移転するためには?

個別具体的な指示や経験則も、学習者の頭にレセプターをつくる役に立つかもしれない。

育成効果が低い順番に、

端的な指示/説明/レクチャー

⇒経験則

⇒体験談

⇒ソクラテスメソッド(対話)

⇒実践を通じた学習(指導のもとでの経験)

指導のもとでの経験が1番重要。

指導のもとでの経験(練習、観察、問題解決、実験)は、

ディープスマートの発達と移転を促進する。

よく考えられた練習を指導するコーチは、練習すべきスキルを選び出し、

学習者に反省を行うように促し、指針となるフィードバックを行う必要がある。

抜粋終了


医師としての『ディープスマート』を少なくとも10年かけて形成していくわけですが、

単に経験をつんだり、知識を詰め込むだけではだめなわけです。

その過程で自分がどんな『信念』に支配されているかに意識的であり、

『信念』の修正が必要であればそうする必要があります。

そのもとで、意識的に、経験、知識を積み上げていく必要があります。

その際に、同じ信念を持ち、ディープスマートを持っているコーチの

指導の下で経験をすることが、効率よく、ディープスマートの形成に

つながるのだと思います。

2011年2月10日木曜日

ブルー・オーシャン戦略


W・チャン・キム + レネ・モボルニュ

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する


なにか戦略論の本を1冊勧めるとしたら、本著を薦めます。

わかりやすく、日常にも応用しやすいからです。


レッドオーシャンとは、既知の市場空間を指し、競合他社を打ち負かすために、

既存の需要を引き寄せるために。差別化や低コストのどちらかの戦略を選ぶ

厳しい競争が必要となる市場を指します。

一方、ブルーオーシャンとは未知の市場空間であり、

競争を無意味なものにし、新しい需要を掘り起こし、

差別化と低コストをともに追求することができます。

本著では、競争のない市場空間を切り開き、

ブルーオーシャンを開拓することを勧めます。

最高の戦略は競争せずにすむことということです。


ブルーオーシャンを開拓するためにまずは、

戦略キャンパスを描くことが第1ステップです。

これは実際に具体例を見てもらえばすぐに書き方は理解できます。


次に新しい価値曲線を描くために、

『減らす』『取り除く』『増やす』『付け加える』の4つの

マトリクスを考慮します。


競合他社にない新しい要素を『増やし』『付け加え』、

それに集中するために、既存の要素を『減らし』『取り除く』ことを考えます。


新しい要素を生み出すためには、

① 代替産業に学ぶ

買い手の立場に立って、直観的に代替産業を選ぶ、そしてその時の判断ポイントを考える

② 業界内のほかの戦略グループから学ぶ

価格とパフォーマンスでグループは分けられる、買い手が選ぶ際の判断ポイントは?

③ 買い手グループに目を向ける

購買者、利用者、影響者、いままでにない買い手グループに目を向けようとしてみる

④ 補完財や補完サービスを見渡す

補完サービスを見直し、トータルソーリューションの改善を行う

⑤ 機能志向と感性志向を切り替える

⑥ 将来を見通す

事業に決定的な意味合いを持ち、後戻りしない、はっきりした軌跡を描く

といった視点から分析して考え出します。


その後、ブルーオーシャン戦略を実行するための方法が展開されていきます。


例えば総合病院でも、機能志向から、感性志向に切り替えて展開すれば、

ブルーオーシャンを行けそうな気がします。

ただ、既存のどんな要素を『減らし』『取り除く』かは、

難しいし、一筋縄ではいかなさそうですが。。。

2011年2月4日金曜日

クチコミはこうしてつくられる


エマニュエル・ローゼン

クチコミはこうしてつくられる


以前に紹介した『急に売れ始めるにはワケがある』の類似書で

特に、クチコミに関することで、より詳細で具体的に書いてあります。

原題は『The Anatomy of Buzz』で、

バズとは、まぁ、クチコミということです。


情報を以下に伝播させるかということに

興味がある人は必読です。


あなたの周りにいるハブは誰でしょうか?

あなたが思っている以上に、弱いつながりは強く、

条件が整えば、クチコミの情報の伝播力は強力です。


以下は要約です。

みえないネットワーク;なぜネットワークが重要なのか

顧客にはあなた方が言うことはほとんど聞こえていない。

しかも、顧客は疑い深い。

逆に、顧客同志はつながっており、

しかも、現在は、新しいネットワーク、インターネットが普及している。

なぜ人は話すのか?

私たちは話すようにプログラムされている

結びつくために話す

世界を有意義にするために話す

リスク、コスト、不確実性を減らすために話す

経済的に意味があるから話す

不安を和らげるために話す


したがって、クチコミは重要なのです。

クチコミには起点となる人、ハブが存在します。


ネットワークのハブ

通常のハブ VS メガ・ハブ

エキスパートハブ and 社会的ハブ

ハブは、新し物好きで、つながりが多く、旅行が好きで、

情報に飢え、おしゃべり、メディアにさらされているといった特徴を持つ。


バズに影響を及ぼす社会的ネットワークの10の基本原則

1)ネットワークは目に見えない

2)人は自分と似ている人と結びつく

3)お互いに似ている人はクラスターを作る

4)バズは共通のノードを通じて広がる

5)情報はクラスター内に閉じ込められる

6)『ネットワークのハブ』と『コネクター』はショートカットを作る

7)私たちは身の回りの人と話す

8)弱い結びつきは驚くほど強い

9)インターネットは弱い結びつきを育てる

10)ネットワークは異なる市場をつなぐ


最後に、バズを作り出す方法についてです。

正しい製品を持っているか?;Step1感染型製品

バズとなりえる、感染型の製品である必要がある。

①(感情的な反応を引き起こす)品質の高い製品やサービスを提供しているか?

② 使った人の生活はよくなるか?人々がしていることに適合しているか?

③ 製品は人から見られるものか?消費する時、よりみられるようにできるか?


正しいアプローチができているか?:Step2蛙跳びさせる

バズを加速するために、蛙飛びさせる必要がある。

① ネットワークに配慮しているか?

② 顧客が何を言っているか知ろう?

③ バズを聞くためにできる限りのことをしよう


ネットワークのハブとうまくやっているか?:Step3ネットワークと協力する

① ネットワークのハブを識別しよう

② より多くのハブを見つけるために、利用可能なすべての手法を使おう

③ ハブを追跡しよう

④ ハブが必要としているものを提供しよう


バズをつくるために必要なすべての手法を考慮したか?

Step4能動的に種をまく、よいストーリーを作る

Step5バイラルマーケティング