2011年6月17日金曜日
教育×破壊的イノベーション
クレイトン・クリステンセン
教育×破壊的イノベーション
『イノベーションのジレンマ』で有名なクリステンセンが
教育問題に取り組みます。
ここで提示された解決策は、
(1) 現在、生徒がうまく学べない根本原因に取り組む改革は少ない。
(2) これまでの、学校改革は、現行体制を激しく非難し、真っ向から対抗しようとするものが多かった。
だがイノベーション研究は、破壊的イノベーションが既存体制への直接攻撃を通じて根を下ろすことはない、という大きな教訓を与えてくれる。
むしろ得策は、既存体制を迂回し、その下を狙うことだ。
これが、破壊を手ごろで、使いやすく、便利で、即応性に優れたものにする方法なのだ。
(3) 1人ひとりの子供の学び方が違うことを認識すれば、現在の学校教育体制(すべての生徒に、同じことを、同じ時に、同じ方法で教える、一枚岩型のバッチシステム)では、子供たちをそれぞれにあった方法で教育できないことが分かる。
必要なのはモジュール方式の体制だ。
(4) 現行体制を迂回し個別化を容易にする、モジュール方式の新しい教育体制を生み出す可能性が最も高い場所の一つが、オンライン・ユーザー・ネットワークである。
(5) 最後に、学校の管理者や指導者が本気でこのような変化をもたらそうとするならば、権力ツールと分離ツールを用いなくてはならない。
ということです。
まぁ、そういう方法もあるでしょうが、これが普遍的な解決策かと言われたら、
どうでしょう!って感じです。
本題からずれますが、(5)と関連して、変革のコンセンサスを形成する方法が役立ちそうです。
置かれている状況を、
(1)『目的に関する合意』がされているか?されていないか?
(2)『実現手段に関する合意』がされているか?されていないか?
の4つのマトリクスに分類します。
目的に関しても、実現手段に関しても合意が形成されいれば、変革は問題ないでしょう。
目的に関しては合意が形成されているが、実現手段に関して合意形成されていなければ、
リーダーシップに関する方法が有効である。
実現手段に関して合意形成されているが、目的に関して合意形成されていなければ、
教育研修、業務手順、業績評価制度など管理的な方法が有効である。
そして、目的に関しても、実現手段に関しても合意形成がない場合、
権力により協調的な方向をしめすしか方法がない。
しかし、学校や病院といった公共では権力的な手段を選択できることは少なく、
変革が難しい理由のひとつといえる。
そうした場合、強い合意が持てる集団を分離してまずはそこから変革を進めるという
方法が考えられる。
2011年6月3日金曜日
ピープル・スキル
ロバート ボルトン
ピープル・スキル
発売から30年、いまだ全米で年間2万部を売りつづける超ロングセラー名著です。
人間関係を壊すコミュニケーション上の「12の障壁」とはなにか?
それらをなくし、人とうまくつきあうための具体的な方法が、
豊富な「失敗例」「成功例」とともに示されます。
対人関係には、3つのスキルがあります。
『傾聴スキル』、『自己主張スキル』、『対立解消スキル』。
この中でも、重要なのが、傾聴スキルと考えられます。
そしてこの3つのスキルは、患者さんとのコミュニケーションに必要なスキルで、
多くの医師は自然と身についているスキルであると思います。
普通の人が起きているときに1番時間を使うのがリスニングです。
様々な職業分野の人を調査した結果、
目覚めているときの70%はコミュニケーションに費やされているという事実が分かりました。
そのうち、書くことが9%、読むことに16%、話すことに30%、
そして聞くことに45%の時間を割いていたということです。
また、人間のコミュニケーションの85%が非言語的なものだと推定されています。
そのため、向き合うことも重要です。
リスニングスキルの3つのスキル
(1) 向き合いスキル
① 真剣な態度を見せる
② 適切な動作(ジェスチャー)を示す
③ 視線を合わせる
④ 集中できる環境を作る
(2) 促しスキル
① ドアオープナー(話のきっかけ)を与える
② 最小限の刺激を与える(たとえばあいづち)
③ 質問を減らす
④ 相手に気を配りながら沈黙する
(3) 反映スキル
① 相手の話の内容に焦点を当てて『言い換えを行う』
② 『感情をくみとり応答に反映させる』
③ 感情と話の内容を関連づけて『真意をくみとり応答に反映させる』
④ 『相手の話を要約する』
自己主張のスキル
(1)相手の問題行動を客観的に説明する
(2)自分にどういう影響があるかを具体的に述べる
(3)自分の感情をはっきり表現する
対立解消のスキル
対立が生じたときは、まずは感情的な問題を重点的に処理すべき
① 敬意をもって相手に接する
② 相手が満足するまで話を傾聴し、それを自分の言葉で言いかえる
③ 自分の意見を簡潔に述べる
自己主張と、対立解消のスキルは、傾聴スキルの延長といえ、
結局は、相手を批判しないで、傾聴を重視しながら、
対話を繰り返す、ということなのだと思います。
いくら正しい診断、正しい治療を行なっても、
患者さんの話を傾聴し、共感しないと、
満足してもらえないし、良好な関係は築けません。
でも、、、分かっているけど、傾聴ってパワーが要りますよね。
思わず患者さんの話を途中で中断したくなってしまったら、
この本の内容を思い出して、ぐっと我慢です。
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