2011年8月19日金曜日

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン


カーマイン・ガロ

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン


僕は残念ながらMAC派ではないので、

直接的にスティーブ・ジョブズのプレゼンを体験していません。

しかし、彼のプレゼンはエンターテイメントの位置に達しているようです。

本書を読んだあと、you tubeで彼のプレゼンを追体験し、

その事実を思い知らされ、MAC派で無い自分が少し寂しく感じたほどでした。


本書では、そのスティーブ・ジョブズのプレゼンの秘訣を18項目に分割し、教えてくれます。

その内容は、奇をてらったものではなく、

非常に普遍的なプレゼンの方法であると感じました。

プレゼンの本をひとつ選んで読むとして、

それが本書であってもよい充実した内容であると思います。


以下は要約です。

3部構成で、

プレゼン内容の用意

プレゼン方法の用意

そしてその練習  といった流れです。


『ストーリーを作る』

(1)構想はアナログでまとめる

以下の点に配慮;
ヘッドライン(新聞の題名となるような)
3つのキーメッセージ
パッションステートメント(この会社(構想、未来など)が私は大好きだ。なぜなら。。。)

そして、どのようなストーリーを作り上げるか!!

(2)一番大事な問いに答える

『聞き手はなぜこのアイデア/情報/サービスに注意を払うべきなのか』を自問すること。
覚えて欲しい立ったひとつのポイントはなんだろうか?
できる限り明快に、少なくとも2回は伝えること

(3)救世主的な目的意識を持つ

自分だけのパッションステートメントをつくる。
なぜ心から真剣にそうしているのか、その理由を1文にまとめ、売り込む相手につたえる。

(4)ツイッターのようなヘッドラインを作る

ヘッドラインとは、よりよい未来というビジョンを聴衆に提案するものという点を忘れないこと。
あなたによってのよい未来ではない。聞き手にとっての良い未来。

(5)ロードマップを描く

主要メッセージが3つになるまで絞り込む。
それぞれのキーメッセージ、効果を高める部品を用意する。
体験談、事実、実例、アナロジー、メタファー、推薦の言葉

(6)敵役を導入する

プレゼンテーションの早い段階で敵役を導入する。
解決策を提示する前に必ず、問題を提起するのだ。
問題提起は、聴衆が痛みを感じる部分を鮮明に思い描ければ簡単に行える。
『なぜそれが必要なのか』と自問すれば問題は提起できる。
時間を割いて問題を詳しく説明する。聴衆に実感を持ってもらう。痛みを強く感じてもらう。

(1)何をするのか?
(2)どの問題を解決しようとしているのか?
(3)ほかとはどう違うのか?
(4)なぜ気にかける必要があるのか?
人々が気にするのは、自分の問題を解決することなのだ

(7)正義の味方を登場させる

ユーザーが痛みを感じるポイントをはっきりさせて敵役としたら、自分の会社、製品、さービスがどのような形でその痛みを和らげてくれるかを分かりやすい言葉で説明する。


『体験を提供する』

(1)禅の心で伝える
1枚のスライドは1つのテーマに絞る

(2)数字をドレスアップする
数字を聞き手の暮らしに密着した文脈におくことが大切である。

(3)ステージを共有する、小道具を上手に使う

(4)『うっそー』な瞬間を演出する
画期的な発表である必要はない。
体験談を話す、新しい情報や予想外の情報を提供する、
デモを行うなどの形でも聴衆の記憶に残る瞬間を演出できる。
予想を大きく外せればはずせるほどいい。
感動の瞬間にむけた筋書きを作る。
十分に盛り上げてから爆弾を落とすこと。
爆弾投下はよく練習しておくこと


『仕上げと練習』

(1)存在感の出し方を身につける
(2)簡単そうに見せる
(3)目的にあった服装をする
(4)台本を捨てる
(5)楽しむ


2011年8月5日金曜日

フロー体験 喜びの現象学


M. チクセントミハイ

フロー体験 喜びの現象学


『モチベーション3.0』にて指摘されていた、

モチベーションコントロールのために必要な3つの要素は、

『自律性』『マスタリー』『目的』でした。

本書で述べられている『フロー』は特に『マスタリー』との関連で紹介されていました。

マスタリーはフローではじまります。

フローとは、取り組んでる課題が本質的に自分の能力と整合している場合の最適経験のことで、

日々の活動を難しすぎず、易しすぎない業務にする必要があるのです。


時間を忘れて、仕事に没頭し、成果を上げられる体験は、非常にエキサイティングなことです。

それがフロー体験です。

フロー体験とはどのような条件で達成できるのか、その謎に迫ります。


以下、要約

内的経験の最適状態というのは、意識の秩序が保たれている状態である。

これは心理的エネルギー(つまり注意)が現実の目標に向けられている時や、

能力(skill)が挑戦目標と適合している時に生じる。

1つの目標の追及は意識に秩序を与える。

人は当面する課題に注意を集中せねばならず、その間は他のすべてを忘れるからである。

挑戦目標の達成に取り組んでいる時が、生活の中で最も楽しい時である。

心理的エネルギーの統制を達成し、

それを意識的に選び取った目標にむけた人は必然的により複雑な存在へと成長する。

このような人は能力を高め、より高度な挑戦目標へと近づくことによって、

次第に非凡な能力を持つ人間に代わっていく。


フローの要素

能力を必要とする挑戦的活動

好意と意識の融合

明確な目標とフィードバック

今していることへの意識集中

自意識の消失

時間の返還



仕事を通して生活の質を高めるには、ふたつの補足的戦略が必要である。

1つは仕事はできるだけフロー活動(狩りをする、小屋を作る、手術をするなどのように)に

似せるよう設計しなおされねばならない。

しかしまた、挑戦の機会を認識し、能力を磨き、

達成可能な目標を設定できるよう人々を訓練することによって、

自己目的的なパーソナリティを発達させるように手助けすることも必要である。

これらの戦略の1つだけが仕事をより楽しいものにするとは思えない。

両者がそろうことにより、それらは大きな最適経験におおきく貢献するのである。


仕事中、人々は能力を発揮し、何ものかに挑戦している。

したがってより多くの幸福・力・想像性・満足を感じる。

自由時間には一般に取り立ててすることがなく、能力は発揮されておらず、

したがって寂しさ、弱さ、倦怠、不満を感じることが多い。

それにも関らず彼らは仕事を減らし、余暇を増やしたがる。

この矛盾したパタンはなにを意味するのだろうか?

いくつかの説明ができるが、必然的に得られる結論が1つあるように思われる。

仕事に関しては、人々は自分の感覚が得た証拠を重視しない。

彼らは直接的経験の質を無視し、

代わりに仕事とはこのようであるはずだという根強い文化的ステレオタイプに基づく前提に動機づけられている。

彼らは仕事を義務、束縛、自由の侵害と考え、したがってできるだけ避けるべきものと考えている。


自己目的的な自己を発達させるルール

(1) 目標の設定、及びフィードバックを監視する

(2) 活動への没入

(3) 現在起こっていることへの注意集中

(4) 直接的な体験を楽しむことを身につける