2012年12月2日日曜日

その科学が成功を決める

リチャード・ワイズマン

その科学が成功を決める


多岐にわたる心理学の研究論文が載っている専門誌を読み漁り、

行動科学の各分野から数百種の研究結果を集積した結果、

著者は手っとりばやく自分を変える方法を発見する。

言ってみれば、Evidenced Based 自己啓発である。

 

気分よく過ごす、つまり、幸福を感じるためには?

 

お金(給料)と幸福は大きく関連しない。

マイナス思考を抑えつけようとしてもうまくいかない

他人と話しても気分ははれない

 

有効な方法は、

日記を書く。特に。。。

いやなことを打ち明ける

感謝をあらわす

夢ある自分の将来を書く

買うなら品物より体験を、自分以外のことにお金を使う

微笑み、背筋を伸ばし、たのしげにふるまう

 

面接でうまくいくには?

 

学校の成績や経験ではなく好感度が重要

弱点は先に、強みは後半に話す

位置は真ん中が好ましく、難しい言葉は使わない

フランクリン効果(自分が力を貸した相手を人は好きになる。大きな要求は逆効果。)

失策効果(ときどきへまをすると好感度がアップ。ただし完璧な人間と思われている場合)

噂話(噂話、悪口は、好感度を下げる)

恩恵(好意)をほどこすと、相手はそれ以上にお返ししようとする。最大の効果は、知らない者同士で、内容は些細もないものも、思いやりにあふれている場合。

 

夢をかなえるためには?

目標達成のために計画を立てる

正しい計画を立てる、友人や家族に目標について話す、達成した時のプラス面だけを考える、ご褒美を用意する

計画を先延ばしにしないために、数分だけでも手をつけてみる

目標達成のメリットと、障害と対処を考える

 

よいアイデアを生み出すためには?

集団でのブレインストーミングは集団での手抜きにむしろ陥りやすい

意識をそらせて、無意識を働かせる。パズルをするなど。

緑を置く。モダンアートを置く。テーブルを手前に引く。

 

よい決断をくだすためには?

個人で決断するより、集団で決断すると、極端な決断をきたしやすい。

 

二者択一の決断をするときは意識を働かせ、状況のプラスとマイナスについて冷静に理性的な判断をおこなう。

選択がもっと複雑な場合は、意識の力を眠らせて、無意識を働かせる。

人はしなかったことを悔やむことが多い。チャンスに対しては常に実行を心がける。

 

 

2012年10月20日土曜日

科学哲学入門

内井 惣七

科学哲学入門



科学哲学、3冊目です。

1番、教科書らしい内容で、いい意味では内容は濃く、
 
悪い意味では、内容難しいです。

 1番の特徴は、確率論、
 
とくにベイズの理論に関しての哲学的な説明が豊富な点です。
 
 
ベイズの定理は三つの確率
(1)問題の仮説の事前確率、
(2)その仮説を使わないときのデータの予測確率、
(3)その仮説がデータを予測する確率、からなる。
この場合、仮説の中でいわれた経験的(統計的)確率と、仮説自体に与えられた事前確率や事後確率(そして予測確率も入るかもしれない)は、同じ『確率』と呼ばれても種類が違うのではないだろうかと感じるかもしれない。
前者の確率は数少ない個別的現象からその確率を見出すことはできないが、数多く繰り返される現象を統計学的に研究すれば、その確率は客観的な規則性として取り出すことができる。
これに対して、『仮説自体の確からしさ』は、その判断に個人差が入り主観的であることをまぬかれない。
しかし、主観的要素の混入や、客観的かどうかという基準だけで両者が明白に異質だとは言えないのが『確率』の難しいところである。
統計的確率と、確証の度合いとを区別する必要があることは認めてよい。
後者は(統計的推理を含む)帰納の中心概念だというのが我々の考えなので、これを『帰納的確率』と呼んで前者から区別する。
二種を区別しても統計的確率によって帰納的確率が一義的に規定される場合もある。
つまり、統計的確率が客観的なら、対応する帰納的確率も客観的だということになって、ふたつは客観性という意味では異質ではないということになる。
議論のために統計的確率の『客観性』を認めるとすれば、統計的仮説の確証の場合、確率の個人差が入るのは仮説の事前確率のところだけである。
ある科学者の与える事前確率が両極端(0や1)のいずれかの値をとるということは、その人がどちらかの仮説を頭から正しいと確信してしまっており、いかなる経験的なデータからも学ぶ用意がないということを意味する。
これは、統計的仮説に限らず、一般に経験的仮説の確証の文脈ではきわめて不合理な探求態度であるとみなされよう。
とすれば、科学者の間で事前確率の個人差はあっても、この不合理な態度をとらないという了解があれば、統計的仮説の確証における個人的な意見の違いは、十分な観察データがそろえば無視できるほど小さくなっていくはずである。
 
ラムジーとデ・フィネッティによって提唱された主観説によれば、確率とは個々の人によって異なる信念の度合いである。
その信念の度合いをどのようにして計るかという疑問がたち浮かぶ。
これに関しては、たとえば賭を例にとると、賭け率に関しては、不利な賭け率と有利な賭け率が存在するが、有利でも不利でもない中立点、すなわち公平な賭け率もあるわけで、ある命題に対するある人の信念の度合いは、その命題に対してその人が公平な賭け率であるとみなす比によって計られるというのが主観説の基本的なアイデアである。
主観説では、単一事象や個別的命題の確率に意味を与えることもこの立場では容易である。
そこで、残る主要問題は、確率の統計的側面で特に目立つような確率の客観性をこの立場でどのように説明できるかということである。
これに対しては、デ・フィネッティの定理により、ベイズの理論を繰り返し使うことにより、『ある事象の未知の客観的確率が経験的観察によって見出されて確証される』ということが一定の条件をがそろえば、証明される。
 
 
うーん、うまく要約できません。
 
雑感としては、
 
もともとベイズ理論に親和性を感じていた僕には、納得がいく内容でした。
やはり科学とは、正当化できる真理を知りえることはどこか困難であり、
試行錯誤を繰り返し、ベイズ理論のもと、真理に近づいていこうとする行為なのでしょう。
 
医学においても、ひとつの疾患概念の全体像の真の姿に近づいていくというのは、
 
科学として同様に正当化されるのは理解できます。
 
ただ、目の前の患者、単一の事象に関しても、こうした確率的アプローチが
 
どのように正当化されるのか、まだよくわかりません。

2012年9月22日土曜日

はじめの一歩を踏み出そう

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

マイケル・E. ガーバー




あまり、起業するということは、医療と関連はないかもしれませんが、
 
起業に関する一冊を紹介します。
 
 
 
まず、企業に関して間違っている、致命的な仮定とは
 
『事業の中心となる専門的な能力があれば、
 
事業を経営する能力は十分に備わっている』
 
ということである。この仮定は間違っている。

 

私たちのだれもが、『起業家』『マネジャー』『職人』という3つの人格をあわせもっている。
 
そして3つのバランスがとれたときに、驚くような能力を発揮するのである。
 

起業家は新しい世界を切り開こうとし、
 
マネジャーは事業の基礎を固めてくれる。
 
そして、職人は専門分野で力を発揮してくれる。
 
それぞれの人格が最高の働きをすることで、全体として最高の結果を出せるのである。
 

しかし残念なことに、著者の経験からいえば、
 
起業した人の中で3つの人格をバランスよく備えている人はほとんどいない。
 
それどころか、典型的なスモールビジネスの経営者は、
 
10%が起業家タイプで、20%がマネジャータイプで、70%が職人タイプである。
 

事業全体のバランスからいえば、職人タイプが主導権の握るのは最悪の結果を招く。
 
なぜなら間違った人間が主導権を握っているからである。
 
職人は決して主導権を持つべきではないのだ。
 

優れた事業を作るには起業家の視点が必要であり、
 
それが職人の視点とは正反対である。
 
起業家にとって大切なことは、
 
その事業で何を提供するか(What)ではなく、
 
どのように提供するか(How)である。
 

成功する事業には、起業家とマネジャーと職人のそれぞれに持ち場があり、
 
それぞれの強みが発揮できるようなバランスのとれたものなのだ。

 
専門的な能力があるから起業するのではない。

なぜあの事業ではなくこの事業をなのか?

『さぁ、人生をやり直す時がやってきた。
 
できるだけの想像力を働かせて、まったく新しい人生を考えてみよう。
 
私の周りには、チャンスが満ち溢れている。
 
これを生かすのに一番いい方法は、誰もやっていない様な事業を立ち上げることだ。
 
私の夢を実現する様な事業。
 
人に任せても成功する事業。
 
一度買い物に来てくれた人なら何度でも足を運んでくれる事業、
 
さぁ、どんな事業を始めたらいいだろうか』

 

事業には『幼年期』『青年期』『成熟期』がある。

幼年期は、オーナー=事業である。
 
すべての仕事をこなす職人的経営者である。
 
しかしそのうちに仕事量が限界を超え始める。
 
そして今までのやり方では事業を続けられなくなる。

青年期は、人手が必要だと感じた時から始まる。
 
起業家とマネジャーとしての人格が必要となる。
 
青年期で仕事量が過剰になった時、倒産するか、
 
幼年期に戻るか、働き続けるかという選択肢を選ぶことになる。

 
うまくスモールビジネスを展開していき方法は、『事業のパッケージ化』である。

試作モデルに必要なのは以下の6つのルールである。

顧客、従業員、取引先、金融機関に対して、いつも期待以上の価値を提供する。

必要最低限の能力でも経営できる(つまりシステム依存であるということ)。

秩序だてて組織が運営される。

従業員の仕事内容はすべてマニュアルに記載されている。

顧客に対して安定した商品、サービスが提供されている。

建物や設備、制服についてのルールが定められている。

 
つまり、他の人に任せてもうまくいくような事業を作ろう。

どこでも誰でも、同じ結果が出せるような事業の試作モデルを作ることから始めよう。

事業とは、あなたとは別の独立した存在だ。

それはあなたの努力の成果であり、特定の顧客のニーズを満たす機会であり、

あなたの人生をより豊かにする手段である。

事業とは多くの部品から構成されるシステムであり、
 
ライバルとは明確に差別化されたものであり、顧客の問題を解決するものである。


『事業発展プログラム』成功するための7つのステップ

ルール①イノベーション

イノベーションとは新しいものを考え出すことではなく、
 
新しいものを実行することである。

ルール②数値化

ルール③マニュアル化

 

ステップ①事業の究極の目標を設定する。

ステップ②戦略的目標を設定する。

ステップ③組織戦略を考える(組織図を作る)

ステップ④マネジメント戦略を考える(管理システム、業務マニュアル)

ステップ⑤人材戦略を考える(挑戦する価値のあるゲーム化)

ステップ⑥マーケティング戦略を考える(顧客が望むものが大切)

ステップ⑦システム戦略を考える

2012年8月18日土曜日

ブラックスワン

ナシーム・ニコラス・タレブ

ブラック・スワン




サブプライム問題に、東北関東大震災

こうしたブラック・スワンにどう対処したらいいのでしょうか?


「ブラック・スワン(黒い白鳥)」とは何か?
むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。
そのことを疑う者など一人もいなかった。
ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。
白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。

「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。
つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。

タレブによれば、「ブラック・スワン」には3つの特徴がある。
1つは予測できないこと。
2つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。
そして3つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ。


タレブは、人間は不確実性を扱えないことを解き明かします。

つまり、人間が知識をどう扱うかという問題、
そして私たちが実証的証拠よりも逸話のほうを好むという問題を検討します。

具体的には、追認の誤り(まだ目に触れていない一角を不当にも過小評価する)、
講釈の誤り(もっともらしい説明や逸話で自分をごまかす)、
推論を行うときに情緒が入り込むということ、物言わぬ証拠の問題などです。


そして、予測という行為に及ぶとき、こうした間違いをおかします。

ばらつきには大きな意味があることを忘れる。
予測期間が長くなれば予測が劣化する
予測される変数のランダムな性質を見誤る


そして、こうしたブラックスワンにどう対処したらよいかを教えてくれます。

懐疑的にも悲観的になりすぎて、身動きできなくなってはダメで、

経験主義すぎて懐疑的精神がないこともダメで、

懐疑的、かつ、実証主義である必要があるのです。